イタリアの名匠ジャンニ・アメリオ監督の最新作にして、第79回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され独立賞5部門を受賞した、映画『蟻の王』の予告映像と場面写真が公開された。
カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞した『小さな旅人』、ヴェネチア国際映画祭の金獅子賞受賞の『いつか来た道』、2004年の『家の鍵』ヴェネチア国際映画祭で3部門受賞、米アカデミー賞外国語映画賞のイタリア代表作品に選出されるなど、ヨーロッパを代表する名匠ジャン二・アメリオ。
人と人の繋がりを、時に冷徹に、時に繊細に描き続けてきたアメリオ監督が選んだ題材は、同性愛者の存在すら認められなかった時代に恋に落ちた、実在した詩人で劇作家のアルド・ブライバンティとその教え子を巡る史実、“ブライバンティ事件”にインスパイアされた、“人間の尊厳”を問い直す物語。5月のイタリア映画祭でプレミア上映され、正式公開が待ち望まれていた。
1960年代、イタリア・ポー川南部の街ピアチェンツァに住む詩人で劇作家、蟻の生態研究者でもあるアルド(ルイジ・ロ・カーショ)は、教え子の若者エットレ(レオナルド・マルテーゼ)と惹かれ合い、ローマに出て共に暮らし始める。しかしエットレの家族は2人を引き離し、アルドは逮捕、エットレは同性愛の“治療”で電気ショックを受けさせられるため矯正施設に送られてしまう。世間の好奇の目に晒されながら裁判が始まった。新聞記者エンニオ(エリオ・ジェルマーノ)は熱心に取材を重ね、不寛容な社会に声を上げるのだが‥‥。
ファシスト政権下のイタリアでは同性愛者は存在すら認められず、それを禁ずる法もなかったものの、その一方で“教唆罪”という犯罪が成立、1968年にアルド・ブライバンティは、若者をそそのかした「教唆」の罪に初めて問われて逮捕され、裁判になった。
これに、小説家のアルベルト・モラヴィアやウンベルト・エーコ、映画監督のピエル・パオロ・パゾリーニ、マルコ・ベロッキオら芸術家たちが強く反対の意を表明、世に激しい議論を巻き起こし、のちに“ブライバンティ事件”と呼ばれた。アメリオは製作の動機を「今も存在する“異なる人”に対する憎悪に立ち向かう勇気を与えたい」と語る。
主人口・アルドを演じたのは、『輝ける青春』『夜よ、こんにちは』『いつだってやめられる』シリーズ等で知られるイタリアが誇る名優ルイジ・ロ・カーショ。
アルドとの愛を貫き通そうとするエットレ役には、『若者のすべて』のアラン・ドロンを彷彿とさせる、新星レオナルド・マルテーゼ。裁判のゆくえを見守る新聞記者エンニオ役には、カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞歴を持つエリオ・ジェルマーノ。
ルイジ・ロ・カーショは、本作で主演を務めることについて「どんな困難があっても尊敬するアメリオ監督と仕事をしたかった。脚本を読んで、ブライバンティのことを知り、この作品がもつ社会的な重要性を知るにつれて、自分が出来る最大限のことをしたいと思った」と真摯な熱い想いを語っており、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞とナストロ・ダルジェント賞の主演男優賞にノミネートされた。
映画『蟻の王』は、2023年11月10日(金)より全国順次公開。
1960年代、イタリア・ポー川南部の街ピアチェンツァに住む詩人で劇作家、蟻の生態研究者でもあるアルドは、教え子の若者エットレと恋に落ち、ローマに出て共に暮らし始める。しかしエットレの家族は2人を引き離し、アルドは“教唆罪”に問われ逮捕、エットレは同性愛の“治療”で電気ショックを受けさせられるため矯正施設に送られてしまう。世間の好奇の目に晒されながら裁判が始まり、新聞記者エンニオは熱心に取材を重ね、不寛容な社会に声を上げるのだが‥‥。
監督・脚本:ジャンニ・アメリオ
出演:ルイジ・ロ・カーショ、エリオ・ジェルマーノ、レオナルド・マルテーゼ、サラ・セラヨッコ
配給:ザジフィルムズ
©Kavac Srl / Ibc Movie/ Tender Stories/ (2022)
2023年11月10日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
公式サイト zaziefilms.com/arinoo/