フランスを代表する名女優カトリーヌ・ドヌーヴと、本作でセザール賞最優秀主演男優賞を受賞した演技派、ブノワ・マジメルの共演による、映画『愛する人に伝える言葉』。本作は、癌を宣告された主人公とその母親が、限られた時間のなか「人生のデスクの整理」をしながら、穏やかに死と対峙していく過程を感動的に描く。
患者とその家族を幸せな「終活」に向けて牽引する重要な役として注目されているドクター・エデ役のガブリエル・サラの職業は、なんと本物のお医者さん。ニューヨークで終末医療などに従事し、本作では彼自身の言葉・哲学が正式にセリフとして多く使われており、物語にリアルな深みを与えている。
この度、サラ医師のインタビュー映像を独占公開。
監督は、『太陽のめざめ』(15)でカンヌ国際映画祭のオープニングを飾ったエマニュエル・ベルコ。主人公を献身的に看病し、愛情を寄せる看護婦役には、『モンテーニュ通りのカフェ』などで知られるセシル・ド・フランス、そして主治医のドクター・エデ役には、実際に現役の癌専門医であるガブリエル・サラが扮しているのも話題。
サラ医師は映画好きで、同じく映画好きの妻と共にフランス映画祭に毎年参加する。ある年に観た『太陽のめざめ』に感動し、さらに上映後のエマニュエル監督とのディスカッションに感銘を受けたことが、本作に出演したきっかけだそう。「彼女は深く理解していると感じました。問題のある人々の困難をです。」、「彼女なら私の考えを理解してくれる」と強烈に惹かれた当時を思い出す。
本作は、患者を見守る医者としての経験だけでなく、医者が持つ重要なメッセージもよく伝えているとサラ医師は語っており、「私は難しい道を一緒に歩く相棒です。そして患者に自尊心の意味を教えるんです」と自身の医者としての在り方を語る。
“人生のデスクを片付ける”ことについては、「人生のデスクは皆ごちゃごちゃです」と前置きし、命の期限が迫ったときには片付けることで、「大切なものが見えて人生の質が高まる」、さらに「残りの時間の貴重さを実感するはずです」と健康でも片付けることの重要性を語る。
役を演じることは、1つの挑戦であったというサラ医師。だが、エマニュエル監督への絶大な信頼が心の安心感と撮影の大変さを乗り越える鍵となったという。演技の転機もあったそうで、「最初はエデ医師を演じようとしていたのが、考えずに彼になればいいと気付いた」、その時に変わったという。監督だけでなく、共演の俳優とも親しくなり、カンヌで再開した際には、まるで仲間のように感じて大喜びだったそう。
実際に患者の家族に寄り添う際、治療だけでなく“患者の心”への手当も必要で、「人間と病気の臓器を切り分けることはできません。1人の人間なのです。」と語り、心を治療するために何年も考えてきた方法で患者に“生きている”実感を与えたいという。そのために色々考えながら、「自分の感情を言葉にできない人もいる。音楽はそれを変えられます。」と、言葉の他に音楽を使っての心理療法なども行う。
撮影で医師として「技術的な面や医療の面では指導しました」と語るサラ医師だが、大半はノータッチで「エマニュエルがすでに最高の準備をしていました。共同脚本のマルシアもです。」と、制作陣の実力に太鼓判を押す。
映画『愛する人に伝える言葉』は、10月7日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開。
バンジャマンは人生半ばで膵臓癌を宣告され、母のクリスタルとともに、業界でも名医として知られるドクター・エデを訪れる。2人は彼に一縷の希望を託すのだが、エデはステージ4の膵臓癌は治せないと率直に告げる。ショックのあまり自暴自棄になるバンジャマンにエデは、病状の緩和による生活の質を維持するために化学療法を提案し、「一緒に進みましょう」と励ます。ドクター・エデの助けを借りて、クリスタルは息子の最期を出来る限り気丈に見守ることを心に決めるのだが‥‥。
監督:エマニュエル・ベルコ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ブノワ・マジメル、セシル・ド・フランス、ガブリエル・サラ
配給:ハーク
© Photo 2021 : Laurent CHAMPOUSSIN – LES FILMS DU KIOSQUE
2022年10月7日(金) 新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開
公式サイト hark3.com/aisuruhito/