Apr 02, 2024 news

ロシアによる侵攻開始からの20日間を捉えた、第96回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞受賞作品 映画『マリウポリの20日間』

A A
SHARE

第96回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した、映画『マリウポリの20日間』が、日本でも緊急公開されることが決定し、あわせて予告映像、日本版ポスタービジュアル、シーン写真が公開された。

2022年2月、ロシアがウクライナ東部に位置するマリウポリへの侵攻を開始。これを察知したAP通信のウクライナ人記者であるミスティスラフ・チェルノフは、仲間とともに現地に向かった。ロシア軍の容赦のない攻撃による断水、食料供給や通信の遮断。瞬く間にマリウポリは孤立していく。海外メディアが次々と脱出していく中、彼らはロシア軍に包囲された市内に残り、死にゆく子供たちや遺体の山、産院への爆撃などを命がけで記録し、世界に発信し続けた。取材班らも徐々に追い詰められていく中、滅びゆくマリウポリと戦争の惨状を全世界に伝えるため、チェルノフたちは辛い気持ちを抱きながらも市民を後に残し、ウクライナ軍の援護によって市内から脱出することになる。

この度公開された予告映像では、マリウポリで実際に起こった凄惨な現実と、しかしこの状況が報道され世界へ拡散されることで、世界が変わるのではないかと一縷の可能性を信じる人たちの姿を捉えている。街中では、ロシア軍の印‟Z”が刻まれた戦車が走り、爆撃投下を知らせるサイレンに怯えながら地下に避難する市民、やがて産科病院さえもターゲットになり妊婦らが被弾、大きなお腹のままで担架で運ばれ、小さなこどもは「死にたくないの」と、訴える。一方、「この惨劇を世界へ伝えてくれ」と、惨劇の被害者となった一般市民たちを治療する医師は取材班に懇願する。監督自身が「この光景を必死に忘れようとしても、決して忘れることはできない」と語る‟歴史の現実”を、容赦なく世界の人々へと突きつける。

本作を監督したミスティスラフ・チェルノフは、AP通信社のビデオジャーナリストであり、ウクライナ職業写真家協会の会長。チェルノフ監督はウクライナ東部の出身で、2014年にAP通信に入社して以来、欧州やアジア、中東の主要な紛争、社会問題、環境危機を多数取材、本報道で、ともに取材を敢行したチームとともに2023年にピューリッツァー賞公益賞を受賞した。

▼ミスティスラフ・チェルノフ監督 第96回アカデミー賞授賞式 受賞コメント(全文)
この作品はウクライナ映画史上初めてアカデミー賞を受賞しました。しかし、おそらく私はこの壇上で、この映画が作られなければ良かった、などと言う最初の監督になるだろう。このオスカー像を、ロシアがウクライナを攻撃しない、私たちの街を占領しない姿と交換できれば、と願っています。

ロシアは私の同胞であるウクライナ人を何万人も殺している。私は、彼らがすべての人質たち、国を守るために戦うすべての兵士たち、刑務所にいるすべての民間人たちを解放することを願っています。

しかし、歴史を変えることはできません。過去を変えることもできません。私はあなた方に、世界で最も才能のあるあなた方に呼びかけます。私たちは、歴史を正しく記録し、真実を明らかにし、マリウポリの人々や、命を捧げた人々が決して忘れ去られないようにすることができます。なぜなら、映画は記憶を形成し、記憶は歴史を形成するからです。

映画『マリウポリの20日間』は、2024年4月26日(金)より全国公開。

作品情報
映画『マリウポリの20日間』

2022年2月、ロシアがウクライナ東部マリウポリへ侵攻開始。戦火に晒された人々の惨状をAP通信取材班が命がけで撮影を敢行し、決死の脱出劇の末、世界へと発信された奇跡の記録映像。

監督:ミスティスラフ・チェルノフ

配給:シンカ

©2023 The Associated Press and WGBH Educational Foundation

2024年4月26日(金)  TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

公式サイト synca.jp/20daysmariupol/