Aug 16, 2025 interview

諦めるな、未来に手を伸ばせ 『雪風 YUKIKAZE』 玉木宏×奥平大兼 インタビュー

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今度は我々が未来をつなぐ番

ーー作品全体をとおして、個人的に印象深いシーンを教えていただけますか?

玉木:たくさんありますし、選ぶのは難しいですけど、今回の「生きて帰る。生きて還す」というメッセージを伝えることにおいては、冒頭のシーンからそれが伝わるかなと思っています。海に投げ出された人々に、手を差し伸べる姿が、やっぱり鮮明に残っていますね。

奥平:本編では、雪風が復員輸送艦になったあとも描かれるんですけど、戦地から引き揚げるなか赤ちゃんが生まれるんです。先人たちの命を繋いできた雪風の上で、新しい命が生まれたことで、命を紡いでいる感じを強く受けました。命を救って生きて還すという象徴だなと思えて、お芝居をしながらも心がすごくほっこりするシーンでした。あと本編ではカットされているんですけど、そこで井上がみんなを見てニコって笑うシーンがあったんですよ。そのシーンは、お芝居をしていて、すごく心があったかくなったし、この作品をとおして、井上として、ちゃんと生きられたなと思えたのですごく良かったです。ごめんなさい、本編にないシーンの話をして‥‥。

玉木:なんでカットしたんだろうね(笑)。

ーー本作は、今の世の中だから響くものがあると思っています。そういった意味も込めて、これから『雪風 YUKIKAZE』を観るかたにメッセージをお願いします。

奥平:僕自身、戦争や歴史についてすごく知識が乏しかったので、この作品に携わらせていただいて、自分の中ではいろんな学びがありました。それを他の若い人たちに伝えたいです。そして若い人たちが大人になった時、今度はそれを渡す側になってくれたらすごく嬉しいなと思います。戦後80年という機会に改めて、戦争のことを見直す一つのチャンスだと思うので、ぜひ観ていただきたいです。

玉木:何事も節目節目で考えるのは、すごく大事なことだと思っています。そういう意味で、この戦後80年というのは、まさに太平洋戦争があったことを考える、いいきっかけになる時間だと思います。この映画は、”実際こんな辛いこと、ひどいことがありました”という話だけではなくて、どこか希望が見える、そんなメッセージを込められている作品だと思っています。戦時中に、生きる強さを持った人たちがいたから、現代につながっているので、今を生きる僕らはその事実を知って、伝えて、そして残すということをしなければいけない立場だと思います。人が人を思う。大切な気持ちをもう一度、考える。だから、家族や大切な人と会話をする作品になればいいと思う。この映画が、そういうコミュニケーションを取るきっかけや題材になればいいなと思っています。

取材・文 / 小倉靖史
撮影 / 岡本英理

作品情報
映画『雪風 YUKIKAZE』

平和な海が戦場だった時代。帰ることを夢見ながら戦い続けた兵士たちや、その無事を祈り、待ち続けた家族たち。ひとつひとつの人生にはどんな物語があり、それぞれが何を思い続けていたのか。

監督:山田敏久

出演:竹野内豊、玉木宏、奥平大兼、當真あみ、藤本隆宏、三浦誠己、山内圭哉、 川口貴弘、中林大樹、田中美央、田中麗奈、益岡徹、石丸幹二、中井貴一

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、バンダイナムコフィルムワークス

©2025 Yukikaze Partners.

公開中

公式サイト yukikaze-movie