演じる目線と感じる目線
ーー奥平さんは、オフィシャルコメントで、ご自身の役柄について「若い人に目線が近いと思う」とおっしゃっています。若い人の目線に加えて、井上壮太という役柄を演じるにあたって感じたことを教えてください。
奥平:井上って艦の中でも年齢が若くて、登場人物の中でも、この映画を観る皆さんの目線と近い存在なのかな?と思ったんです。自分がもしその場にいたら、戦争をしていることを、どう感じるんだろう?という気持ちはちゃんと持っておきながら、井上として、その状況をどう見るか?と考えながら、演技をしていました。井上って台本の中でも「‥‥」が多くて、あまり自分の考えや思っていることを口に出したりしないんですよ。いま起きている状況を見つめている、自分の中で考えている。というような、現状を主観的に見ているんです。一方で先任伍長と一緒にいるときだけ、客観的に見ていると思っているんですね。こういった、ふたつの目線を持ったときに、自分自身の地に足をつけた等身大の考え方を持っていないといけないなと思ってました。逆にあまり大人びた考え方だと、純粋に井上自身が、戦争自体のことや、戦時中に自分が行なっていることに対して、正当性をちゃんと咀嚼できないだろうなとも思っていました。

ーー玉木さんは、本作のように駆逐艦だけでなく、他作品では潜水艦にも乗られていらっしゃいます。これまでいろいろな立場を演じられたと思いますが、今回の先任伍長・早瀬幸平という役柄はどのように意識して演じられましたか?
玉木:戦艦や潜水艦に乗っているのは、誰よりも多いはずです(笑) 。でも先任伍長という立場は初めてでした。完全な持ち場があるわけではないので、何でもやるし、艦全体を見ている。現場のボスみたいな人です。誰よりも自分が雪風に乗っているから、この艦を自分が一番知っているという自信もある。だから自分より下の人たちに対しては、もう父親のような母親のような、まとめ役という意識でやっていました。
ーーやはり撮影現場も玉木さんにまとめていただいてました?
奥平:そうですね、玉木さんがまとめてくださってました。
玉木:いやいや、そんなことないです。みんなで、楽しくやってましたよ (笑) 。



