終戦の日である、8月15日に公開の映画『雪風 YUKIKAZE』。先の大戦における数々の激戦を主力として最前線で戦い続け、唯一ほぼ無傷で終戦を迎えた駆逐艦「雪風」。この不死身の駆逐艦は、戦闘後、海に投げ出された兵士たちを敵味方関係なく救い、乗員は行きよりも帰りの方が多いという逸話がある艦だ。
本作は、知られざる史実を背景に、戦中から戦後を懸命に生き抜いた人々の姿を描き出す。過去が現代につながっている。この当たり前のことをふまえて、戦後80年を迎えた今年、旧態依然の戦争観ではなく、太平洋戦争を見つめ直すにはいい機会となるだろう。
今回、雪風で下士官・兵を束ねる先任伍長・早瀬幸平役の玉木宏さん、若き水雷員・井上壮太役の奥平大兼さんにインタビューを行い、本作の役柄どおり、頼れる先輩であり、きちんと話を聞く後輩である、おふたりに演じていて感じたこと、伝えたいことを伺った。
伝えなければいけない
ーー戦後80年という節目の今年に公開される『雪風 YUKIKAZE』ですが、作品を拝見して、単なる戦争映画という印象は受けませんでした。おふたりは台本を読んで、実際に演じられて、この作品にどの様な感想をお持ちになりましたか?
玉木:この映画の時代背景には太平洋戦争がありますが、おっしゃるとおり、雪風という駆逐艦に焦点が当てられた作品で、実際どういう艦だったのかが、よくわかってもらえる作品だと思います。冒頭に、僕が奥平くんを助けるシーンがあるのですが、そこで「手を伸ばせ」「1人残らず救い上げるぞ」というセリフがあるように、それが味方であれ、敵国の人であれ、構わず命を救う。そして残された人たちにちゃんと命と想いをつないでいく。作品の最大のメッセージが、「生きて帰る。生きて還す」ということ。それは現代にも通ずるテーマだと思っていますし、”今回伝えなければいけないメッセージ”だなと台本を読んだときに、そういう印象を受けました。

奥平:戦争映画の出演も今回初めてですし、正直、今まで戦争に関して感情を持って自分から進んで勉強したこともありませんでした。なので、台本を読ませていただいたときに、僕の知らないことだらけでした。今回、雪風という駆逐艦の役割や、その周りの艦の動きなど細かなことから、当時の人々、船上での乗員たちの生活といった、人間的な部分も描かれていたところが、個人的にすごく刺さりました。そして僕が普段こういう戦争をテーマにした作品を観るとき、”表面的なところばかり見ていたな”と気づきました。僕が戦争がテーマの作品を深く観ていなかったこともあって、当時の人々の人間性が描写されてる部分を井上壮太として、しっかり観ている人に、特に若い人にちゃんと伝えられるように演じようと思いました。
