4月11日に公開された映画『アマチュア』。本作は、愛妻家で内気なCIA分析官チャーリーが、無差別テロで妻が殺害されたことをきっかけに、仲間もいなければ、戦闘経験もない”アマチュアスパイ”として、予測不能な復讐劇を繰り広げるノンストップ・スパイサスペンスだ。
今までにないスパイ映画となっている本作。主演のラミ・マレックと妻のサラ役で、7月11日に『スーパーマン』の公開を控えるレイチェル・ブロズナハンへのインタビューの機会を得た。彼らのコメントを交え、スパイ映画とは、プロフェッショナルとは何なのか、そして本作の魅力を探りたい。
スパイ映画の必須要素とは
皆がよく知るスパイ映画といえば、陰謀に巻き込まれ、騙し騙されるストーリー展開。そして世界中を飛び回り、カーチェイス、爆破、取っ組み合いのアクションが満載といった内容の映画を想像するだろう。
もちろん『アマチュア』にも、その要素はある。しかしながら、一見、地味ではある。『007』シリーズでいうアストンマーティンや、ギミック満載のスパイグッズは出てこないし、『ミッション:インポッシブル』シリーズのような、ド派手なアクションはない。

殺しのライセンスを持たない男・主人公チャーリー・ヘラーは、無慈悲に殺された最愛の妻のため、テロリストに復讐を誓う。彼は、CIA分析官という立場を活かし、テロ当日の監視カメラの映像、衛星データ、音声の波形を解析し、犯人たちの手がかりを掴む。上層部に情報を提供するもなぜかテロリスト確保に動こうとしない。憤りが収まらないチャーリーは、自らの手で裁きを下すため、CIA訓練プログラムに潜り込む。
人を殺すどころか、銃すらまともに打ったことがない。訓練中、ターゲットに近づいて銃を構えてもうまく当たりはしない。チャーリーの担当教官で、映画『マトリックス』シリーズのモーフィアス役でお馴染みのローレンス・フィッシュバーン演じるヘンダーソン大佐は言う「引き金を引けるのは自信家かバカだけだ」と。少しの射撃練習をしたぐらいでは、戦闘経験のないデスクワーカーが、敵を撃ち抜くことは難しいのだ。
では、チャーリーはどうやって妻の仇を討つのか? ここが『アマチュア』の見せ所である。