Sep 15, 2017 interview

渋谷直角×大根仁監督 なぜ”奥田民生”でなければダメだったのか?

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おしゃれ雑誌の編集者・コーロキが、美人広報の天海あかりと出会ったことで人生の歯車を狂わされていく映画『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』。渋谷直角によるカルト的な人気を持つ原作漫画を、サブカル青春映画の金字塔とも呼ばれる映画『モテキ』の大根仁監督が、妻夫木聡&水原希子を迎えて実写映画化した待望作として、いよいよ今週末公開される。

原作者の渋谷直角は、20代から伝説的なカルチャー雑誌『relax』でコラムを執筆してきたバックグラウンドを持つ。本作でも当時の経験が背景になっている部分もあることから、『relax』時代の渋谷直角をよく知るライター・編集者の小柳帝が、渋谷直角と大根監督に映画の裏話や、“なぜ奥田民生じゃなければいけなかったのか”、そのほか大根監督も初めて聞く話をたっぷり聞きました。

 

イラスト画©渋谷直角

イラスト画©渋谷直角

 

映画化のタイミングを待っていたら
“妻夫木聡”というデカい波がやって来た

 

渋谷 (大根監督に)僕は帝さんに、雑誌『relax』時代、とてもお世話になっていたんですよ。

大根 そうなんですか、よろしくお願いします。

小柳 いえいえ。でも、だからこそ(映画を観て)いろいろと思い出した部分も多くありました。まずは、映画化された経緯から教えていただけますか。

渋谷 2年前、『奥田民生になりたいボーイ出会う男すべて狂わせるガール』の漫画が出る時に「大根さん、発売記念のトークイベントに出てもらえませんか。つきましては、大根さんの知り合いの綺麗な女優さんを呼んでもらってもいいですか」と言って、それで臼田あさ美さんが出て下さったんです。

小柳 ありましたね、羨ましいなと思った。

渋谷 臼田さん、お綺麗な人でした。そのトークショーの時に大根さんが、「今回は(映画化も)アリかも」とふわっとほのめかすようにおっしゃってくれていて。でも僕は「そんなこと言ってぇ~~」って疑心暗鬼みたいな感じでした。(映画化が)実現する・しない以前に、大根さんがそういう話を出してくれるのは嬉しかったんですが、実際のところ、世の中にはもっと映画化すべきだろうと言われているような漫画がたくさんある訳じゃないですか。その中で、僕の作品なんて、“無人島にだけ生息している、配色が変な飛べない鳥”みたいなポジションですからね。

 

前編㈪_MG_2265

 

これを映像化するなら
俺が一番上手く出来る

 

渋谷 「(映画化に)なったら面白いよね」っていう話題程度のものだと思っていて。でも妻夫木さんがサブカル好きで読んでもらったら響いたみたいで「やりたい」と手を挙げてくれたところから、急に具体的な話になっていったんです。そこからいろいろ脚本用のネームを書いたりという、映画化が実現するまでの数々の仕事を乗り越えていかないといけなくなる訳ですが……。なので、僕としては、2016年2月25日に、オフィスクレッシェンド(大根監督の所属事務所)に大根さんに会いに行ったら「(映画化が)決まったよ」と言われた瞬間が、喜びのピークでした。その後はずっと、ひたすら怯える毎日です。この規模感に(笑)。

大根 毎日スタッフに取り込まれて、「早く(劇中の)雑誌作れ(※①)」とか、「デザインどうなってんだ」とかせっつかれて、“原作者の先生”っていう立場から一転して、ひたすらこき使われる(笑)。 (※①:作中に登場する架空のライフスタイル雑誌『MALET.(マレ)』。劇中に登場する雑誌に関しては渋谷がメインとなり制作したもの。また、スピンオフ雑誌としてマガジンハウスから発売中で、妻夫木が雑誌編集者という役柄さながら、企画の考案から取材や撮影など編集者として活躍している)

小柳 では大根さんとしては、やはりトークショーに出られたところから(映画化の企画が)始まった感じですか。

大根 原作を読んだ時から「これを映像化するなら、俺が一番上手く出来るぞ」という自信はあったんです。でも、正直なところ『ONE PIECE(ワンピース)』よりかは売れていない漫画じゃないですか。あからさまに誰もが知っている大作ではなくて、むしろ、ニッチと言ってもいい作品でしょう? ニッチな原作をニッチな場所で映画化することはこれまで散々やってきましたが、この作品はそれ以上のポテンシャルがあるような気がしていて、「ニッチな作品だけど、メジャーな場所でやりたい」というのは、なんとなく初めからありましたね。(漫画を)読めば絶対みんな面白いと思うはずだから、自分から積極的に(映画化に向けて)動いていくより、みんなが「この漫画、面白い!」って騒ぎ始めるタイミングを待って、「その“波”が来たら一気に乗っかって行くぞ」とは思っていたんですよ。そうしたら、まず妻夫木(聡)という一番デカい波が急にやってきたっていうね。「この波には乗らねば」という感じで、とにかく必死に漕ぎ出していったという感じです。

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