平成と令和
ーー本作では、若い男女が文面を読んで会っていない人に好意を寄せていきます。最初に脚本を読んだときの感想をお聞きしたいです。
神尾 この作品は、現代パートと過去パートで構成されていて、そのシーンが交互に出てくるんですが、すごくまとまっていて、台本を読んでいても混乱しないんです。だからこそストーリーに惹き込まれますし、感情移入できました。
桜田 自分たちは現代パートを演じていて、過去パートが、どう撮影しているかわからない状態で撮影していたんです。台本に書かれている文字を読むだけで、”これがどう現代につながっていくんだろう?” って想像が膨らんでいたので、試写で拝見したとき、”こうやって現代につながるんだ!” って、純粋に観客としてこの映画を楽しめました。




ーー過去パートを観ていると、文通とか、今と違うことがいっぱいあったと思いますが、おふたりにとって、びっくりした平成時代のエピソードってありますか?
神尾 速達ですね。 早く届くにしても、あれはどれくらいの時間がかかるんですかね? 今伝えたいことも、今すぐに伝えられないですよね。
ーー現代はメールやLINEがありますからね。いまは、スマホがないと、待ち合わせするにも、ドキドキしますよね。
桜田 現代では無理だと思います。見つけられないと思います。でも1回やってみたいですよね。
神尾 1回やってみたい?
桜田 時間に余裕があるときに、その日はスマホを持っていかないで、現金だけ持って待ち合わせして、1日過ごすとか楽しそうじゃないですか?
神尾 あんまり‥‥。
桜田 あんまりでしたか (笑)。


ーー桜田さんは過去のパートで驚いたことはありますか?
桜田 ペンフレンドを募集するときに、顔写真と住所を雑誌に載せるんですよね。現代だったらとんでもないことになりそうですけど、当時は、自分の知らない世界を知っている人と文通してみたいとか、純粋な気持ちでそうしているわけじゃないですか。それってなんかいいなと思いましたし、楽しかっただろうなって。
神尾 昔って、芸能人とか野球選手の住所とかバレてたんですよね。嫌だよね。
桜田 はい(笑) 。
ーーそもそも、おふたりは文章を交わして心を通わすことに共感できますか?
神尾 人柄って字に表れると思っているので、手書きの方が気持ちは伝わるなって思います。メールって便利ですけど、すごく無機質なので、受け取り方で印象が変わってしまうんですよね。だけど、手書きだとちゃんと伝えたいことが伝わってるなと思います。
桜田 お仕事でお世話になった方への贈り物や、友達の誕生日プレゼントと一緒にお手紙を入れたりするんですけど、その人のためにどういう便箋にしようとか、どういう内容にしようとか考えている時間がすごく好きなんです。
まだ顔も見たことのない相手に出したことはないですけど、その人を想像しながら想いをのせて書くっていう時間はすごく大切だなと思いますね。

ーーそれにしてもおふたりとも字が綺麗ですよね。
神尾 桜田 ありがとうございます。
ーー桜田さんは、普段からお手紙を書いてらっしゃるから綺麗なんでしょうね。神尾さんも美文字だなって思ってみていました。習字、習ってました?
神尾 母の字が綺麗だったので、それを真似して小さい時から書いていたんですよ。独学のようなものなので、よく見たら別にそんな綺麗じゃないです。
桜田 え、すごく綺麗ですよ。
神尾 それっぽく書いてるだけなんで、なんか誤魔化して書いてます(笑)。
桜田 今後はよく見てみます (笑)。