交わす目力に惹き込まれる
ーー 一緒に演技して印象的だったことを教えてください
神尾 ひよりちゃんは、目が強いです。目を逸らしたくなるくらいの、まっすぐさというか‥‥。このまま、目を合わせていたら吸い込まれていくんじゃないかってくらい、惹き込まれる力を感じました (笑) 。ただ、丈流を演じる上では、すごく助かった部分ではあるんです。丈流と美優がギクシャクするシーンがあるんですけど、そこで、スイッチが入ったときの “桜田ひよりはヤバいな” って思いました。
桜田 そのシーンの美優は、気持ちが煮え切らないまま、丈流の顔を見たくない状況で顔を合わなきゃいけない。早く帰ってほしいけれど、自分の気持ちもわかってほしい‥‥なので、すごく睨みました(笑)。
ーー桜田さんは神尾さんの演技を受けてどうでしたか?
桜田 私も神尾さんの目はとっても印象的でした。丈流は、目が合っても逸らすタイプで、美優ちゃんは、結構まっすぐ見るタイプなんです。ただふたりの目が合った瞬間に、美優ちゃんはドキッとする。”やっと目が合った” と言いますか、ちゃんと自分の内面も見てくれる、目の合わせ方にハッとさせられました。そこは自分にとってもすごく心が動く瞬間ではありましたね。神尾さんの目力は、発動すると吸い込まれちゃうんです(笑)。
ーーお互い目力の強さを感じていたんですね。演じられた丈流と美優は、同年代の等身大の若者です。それぞれのキャラクターが抱えている気持ちと同じようなことって経験したことはありますか?
神尾 僕は高校を卒業する際、進路に迷っていて、本当に丈流と同じような感情だったんです。”将来に期待してない。けど、周りに負けたくない” みたいな (笑)。その葛藤はすごくわかります。
桜田 好きなことをしているはずなのに、ちょっとしたことでくじけたり、イライラしたりしてしまう。そして、そんな自分にもイライラする。やっぱり私も好きで俳優の仕事をしているので、好きな仕事をやる辛さだったり、壁に当たってしまったりする部分は、すごく共感できましたね。
ーー作品冒頭の丈流のセリフにあるように、人生の偶然が重なっていく作品だと思います。おふたりは、びっくりするくらいの偶然に出会った経験はありますか?
神尾 前の事務所のオーディションを受けたときですね。事務所のデスクに、志望者みんなの履歴書が置いてあって、僕の履歴書が一番上に置いてあったんです。それがたまたま、当時の社長の目に留まって「こいつ入れる」って言ってくれたんです。高校時代、サッカー部に所属していたので、坊主が伸びかけてきたくらいの髪型で撮ったんですけど、社長的にはそれが良かったらしいです。オーディションでは何をしていいかわからず、何もできなかったので、受からなそうな感じだったんですけど (笑) 。その履歴書の写真を見て所属させてもらったので、いろんな偶然が重なったなと思います。
ーー桜田さんはどうですか?
桜田 ずっと犬を飼いたいなぁと思っていたんです。そんなとき、たまたま入ったペットショップで、お店に来たばっかりの、もうデビューホヤホヤの子に立ち会えたんです。そこでもう心臓を持っていかれて一目惚れみたいな。抱っこさせてもらったら、この子と一緒に過ごしていることが想像できて、”絶対、この子を家族に迎え入れよう”って思いました。今日の朝も頑張って行ってくるね、って言ったら、尻尾をフリフリしてました。もう、すっごいかわいいです(笑)。