Jan 06, 2019 interview

「ホラー映画を撮ったつもりはない」 ― 傑作『サスペリア』再構築のルカ・グァダニーノ監督が目指したもの

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クラシック・バレエからコンテンポラリー・ダンスに変えた理由

 

──今回の『サスペリア』は、ホラー映画とコンテンポラリー・ダンスの融合が大きなチャレンジになっています。

ホラーも、コンテンポラリー・ダンスも、“肉体”に焦点を当てるところが共通している。

──1977年の『サスペリア』では、クラシック・バレエの学校が舞台でした。

ダリオ・アルジェントは、バレエを装飾的に使っただけだ。部屋の中の“インテリア”みたいな感覚だよ。今回、クラシック・バレエからコンテンポラリー・ダンスに変えたのは、映画の構成やストーリーにリンクしている、というわけでもない。ただもちろん、この私の新作にとってダンスの要素はとても重要だった。女性たちが集まり、魔女の集団のような組織を形成している。その際に、クラシック・バレエだと、ちょっとアカデミックになってしまうと感じたのさ。彼女たちのコンテンポラリー・ダンスはパワフルで、肉体の動きが、魔女が魔法を放つようでもある。ちょっとわかりにくい言い方だが、この映画ではダンスを“言語”ととらえている。マダム・ブランが話す言葉としてのダンスなんだ。彼女の野心、彼女の決断。それらがダンスとして表現されている。

 

 

──オリジナル版の主役、ジェシカ・ハーパーをキャスティングした理由を教えてください。

頼まない理由がないだろう(笑)? 喜んで引き受けてくれたと思う。詳しくは本人に聞いてほしいが、満足しているはずさ。

──上映時間が152分という長さに何かこだわりは?

この長さに不安や躊躇はなかったね。この作品に関わったすべての人が、上映時間が完璧だと感じているはずだ。私が好きな映画のほとんどが、150分以上の長さなんだよ。マーベルのヒーロー映画だって、それくらいの長さがあったりするだろう? むしろ世の中には、短すぎる映画が多いと感じているくらいだ。

 

 

ホラー映画のスタイルは踏襲していない」監督が目指したもの

 

──ストーリーと関係しているかどうかわからない、夢のようなサブリミナル的な衝撃描写も印象的でした。

あれらの描写は、すべてストーリーに関係している。ただし1回観ただけではわからないかもしれない。ぜひ繰り返し観て、その意図を確認してほしいね(笑)。

 

 

──そうした衝撃描写の挿入は、ホラー映画としてもユニークなアプローチです。

いや、私はホラー映画を撮ったつもりはない。ホラー映画のスタイルに興味はなくて、ストーリー、キャラクターについて自然なスタイルを目指しているんだ。

──ただ、『サスペリア』のリメイクと聞くと、誰もがホラー映画を期待してしまいますが……。

私はホラー映画の“スタイル”を踏襲しなかっただけで、ホラー映画自体は大好きだ。ホラーの魅力を信じている。だから、これからもホラー的な作品をもっと作りたいよ。自分の映画作家としての源泉のひとつが、ホラー映画なのは間違いない。