Feb 09, 2024 interview

大沢たかおインタビュー「沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~」エンターテインメントが世界のためにできること

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世界のあり方が問われている

ーー記者会見の際、この作品を「この時代に生きる全ての人間に送る」とおっしゃっていたんですね、大沢さんが‥‥。

あれは、格好つけて言っただけです(笑)。

ーー現在、実際に世界で戦争が起きています。今を生きるみんなが、本作のテーマをリアルに感じるようになったと思います。大沢さんご自身は、制作中とドラマシリーズがリリースされた現在とで、感情の変化はありましたか?

いや、最初の思いから全く変わってないです。元々、世界は危うい綱渡りをしているようなものだと思っているんです。ひとつの歯車が狂ったら、大変なことになるようなギリギリの世界で生きているのが、今の我々なんだろうな、ってずっと長いこと感じていてね。

この「沈黙の艦隊」っていう作品を制作できることになり、今の日本の問題や、世界の問題、その未来に対しての思いとか、希望みたいなもののために、何かエンターテインメントで出来ることはないか、ということから、みんなで決めたテーマがある。だから防衛省も、日本政府も、賛同してくれたと思うんです。

すごく残念なことだけど、プロジェクトを進行している最中に、ウクライナの戦争が始まって、中東で紛争が始まってしまって、台湾問題も相変わらず厳しい状況が続いている。あっという間に世界が、なにか踏み外しちゃったんですよね。信じられない!っていう考え方が変なわけで、紙一重で今まで乗り越えてきたんだと思うんですよ。

ーー原作の連載開始は30年以上前ですが、いまだにその世界が続いていますからね。

核を保有することで、なんとか均衡を保っている世界が今もあって、そういうテーマがある原作だから僕はすごく興味深いと思ったんです。

ーー本編中、独立国家宣言をした後、海江田四郎が自分たちを受け入れるかどうか「日本の意思を問う」と言います。観客に向けた言葉の様に見えたのですが、それがこの作品のメッセージの根幹なのではないかと思っています。

おっしゃるとおりです。海江田四郎は、ただ物事を引き起こしただけなんですよね。それによって右往左往して、戦って悩んで成長していくのは、日本政府の面々や、玉木くんが演じた「やまと」を追跡する深町艦長だったり、上戸さん演じるニュースキャスターであったり、と実は周りの人々なんです。でもその先には国民がいる。そこに対して彼は、意思を問おうとしているんですよね。

僕もそうだけど、日本でずっと生まれ育って、曖昧な空気の中で僕らは生きてきたじゃないですか。なんとなく蓋をして生きているけれど、その”なんとなく”っていうものに海江田って人は、ボーンって風穴をあけた。

ただ、本作はエンタメ作品ではあるけど、彼、そして仲間たちの命懸けのメッセージだったりするから、”この作品のテーマは何か?”って、僕が答えちゃうと面白くないし、もったいないと思ってます。

ーー爆弾はある、これを含めてどう決断しますか?っていう問いかけですよね。

そう。核保有を許さないっていうアメリカに対して”おかしいでしょ”って、我々は今まで言えなかった。彼は日本を離れたことで言える立場になったんですよ。