Oct 21, 2022 interview

清原果耶インタビュー 『線は、僕を描く』の現場で感じた温かく柔らかい変化

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頑固者が変わっていったきっかけ

―― 本作のなかで印象に残ったセリフはありますか?

あります。江口さんが演じている湖峰さんのセリフで「人は何かになろうと思うのではなくて、何者かに変わっていくのかもしれない」みたいな言葉があるんですけど、それが人生の本質をついている気がしました。

がんばってあがいても、どうしようもないときもあるし、かと思えば、時代の流れで変わっていくのか、なじんでいくのか。それは分からないですけど、“なろうと思うんじゃない、なっていくもの”って、本当そのとおりだとなと思いました。このセリフを話している湖峰さんの姿は印象に残っていますね。

―― 清原さんご自身、昔の自分と変わったなと思うことはありますか?

昔はもっと頑固だったと思います。2年前に「良く言えば、まっすぐとか負けず嫌いだけど、悪く言うと独りよがりとか、頑固者みたいな印象になってしまうから、いろんな人の話を聞いて取り入れながら、お仕事したほうが楽しいんじゃない?」と言われたことがあってから変わりました。

言われてみれば、現場で、なんかあったかいなと感じる人は、みんな柔軟性が高い方々ばっかりだったなぁと腑に落ちたところがありました。それからは、現場で柔らかく過ごすには、どうしたらいいんだろう?と考えるようになりました。変われたらいいなと思いながら、今もなんとなく過ごしてます。

―― その影響を与えてくれた方ってどなたですか?

マネージャーさんです。

―― 素敵ですね。

ですって、マネージャーさん(笑)。そういうお仕事の仕方を取り入れられたことは、いい勉強になりました。

―― お芝居の面で、勉強になった先生のような存在の方っていらっしゃいますか?

お芝居について、もっと知りたいと思うきっかけは、「朝が来た」という朝ドラで共演させてもらった、宮﨑あおいさんのお芝居でした。

そのとき、私、初めてのドラマで、どうしたらいいんだろうと思っていたとき、宮﨑さんのお芝居を間近で見て、“感動ってこういうことなんだ”って、すごく影響を受けました。そこから、“どうしたら自分で納得する演技ができたり、監督がOKと言ってくれたりするんだろう”みたいなことを考えるようになりました。

―― その想いは宮崎さんご本人にお伝えしたんですか?

朝ドラ以降お会いしていないので、伝えてはないと思います。でも何かしらの取材があれば、8年前からずっと言っています。とても感謝してます。

取材・文 / 小倉靖史
写真 / 藤本礼奈

作品情報
映画『線は、僕を描く』

大学生の青山霜介はアルバイト先の絵画展設営現場で運命の出会いを果たす。白と黒のみで表現された水墨画が霜介の前に色鮮やかな世界となって拡がる。水墨画の巨匠・篠田湖山に声をかけられ、霜介は水墨画を学び始める。水墨画とは筆先から生み出される「線」のみで描かれる芸術。描くのは「自然(命)」。目の前にある「命」を白と黒だけの世界で表現する。霜介は初めての水墨画に戸惑いながらもその世界に魅了されていく。

監督:小泉徳宏

原作:砥上裕將「線は、僕を描く」(講談社文庫)

出演:横浜流星、清原果耶、細田佳央太、河合優実、矢島健一、夙川アトム、井上想良 / 富田靖子、江口洋介 / 三浦友和

配給:東宝

©砥上裕將/講談社 ©2022映画「線は、僕を描く」製作委員会

公開中

公式サイト senboku-movie.jp