Oct 21, 2022 interview

清原果耶インタビュー 『線は、僕を描く』の現場で感じた温かく柔らかい変化

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ヒロインを演じることとは

―― 役作りのなかで、水墨画を習われていかがでしたか?

練習自体は、1カ月くらいしかできなかったんです。でも、プロデューサーさんから「こんな短期間で、水墨画をうまく描けるようにはなれないから(笑)」って言われて、千瑛として現場に立つ際、“まず、必要な振る舞いや所作をちゃんと身につけよう”という話になりました。元々、水墨画をずっとやっていた人に見える技術ではなく、動作ですね。

もちろん水墨画も描けるようになりたかったので、先生のお話を聞きながら、練習をしていたんですけど、とても奥が深い世界なので、やっぱり自分で上手になったとは言えないです。

―― 最初は不安があったけれど、白い紙に迷いなく線が引けるようになったとかありましたか?

そうですね。最初はすごく怖かったんですけど、画を何回も練習していくうちに、先生が、「失敗は本当にないんです。全部がそれぞれの個性で成功なので、何も気にせず楽しくやってください」って言ってくださったので。そこからは、割と水墨画を楽しめたかな?と思っています。

―― 今回、千瑛を演じるにあたって準備したことはありますか?

水墨画はもちろんですけど、監督とクランクインする前に何時間も2人で脚本について話し合いました。“このシーンの千瑛は、なんでこういう言い回しなのか?”とか、“この時期は、霜介に対してどれくらい当たりが強いのか”とか、細かいすり合わせを現場入り前に、丁寧にさせてもらいました。

そこから私も千瑛を構築していって、“霜介にこういう印象を与えたいから、ここではちょっと柔らかくしてみよう”とか、調整をしていたような印象があります。

―― 確かに、最初は少しツンデレみたいなイメージありましたよね。

なんかちょっと強そうに、みたいな(笑)。

―― 監督から清原さんへの具体的なオーダーはあったんですか?

監督からは「千瑛はこの作品のヒロインだから!」って言われました(笑)。監督が思うヒロイン像ってなんですか?って、現場に入る前も、入ってからも、すごく話し合いましたね。「千瑛って一見、強くて怖そうだけれど、この作品のなかでのヒロイン感をなくしてほしくない」など、監督が思うヒロイン像を作るのに苦労した場面もありました。難しかったです(笑)。

―― クールな役柄の印象はあるんですけどね。

ちょっとした表情や、驚いたときの表情がキュートというか、コミカルさがあったので、そういうところはヒロイン感なのかな?と思います。

―― 「ヒロインだから」って言葉は、女優さんとしてプレッシャーはありますか?

プレッシャーより、ヒロイン像も人それぞれだから、どういう感じなんだろう?っていうことの方が大きかったですね。あの‥‥私の場合、朝ドラのヒロインをやった直後に、この撮影だったので、“ヒロインって、あれでいいのかな?でも、ちょっと違うか”みたいな(笑)。監督のヒロイン像をよく聞くことに集中してました。