Mar 02, 2019 interview

小松菜奈、海外進出!?「ホラーに出演してみたい」――『サムライマラソン』鼎談インタビュー

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日本人俳優の海外進出の秘訣とは?次のタッグはJホラー?

 

──ローズ監督は今後また日本で映画を製作したいお気持ちはありますか?

ローズ もちろんあります。日本を舞台にして、英語と日本語が飛び交うようなバイリンガルの作品を撮ってみたいと考えています。様々な言語でコミュニケートできる時代になりましたし、なんと言っても映画の原点はサイレント映画ですよね。つまり言葉を必要とせずに映画を作っていたわけです。そう考えると可能性が広がると思いませんか?

青木 確かにそうですよね。ローズ監督は、日本の役者が海外の作品に出演するための秘訣は何だと思いますか?

ローズ 先ほど言語の話をしましたが、やはり海外の作品に出演するためにはそれなりの英語力が必要になります。というか英語力よりも発音のほうが大事かもしれませんね。“th”とか(笑)。ただ、アーノルド・シュワルツェネッガーはオーストリア出身なので酷い訛りもあったはずで、それでもあれほどの大スターになりましたよね。まぁ『ターミネーター』はアンドロイドの役だったから、そこまで発音に厳しくなかったのかもしれませんが(笑)。とにかく海外で仕事をする上で、基本的な英語力以外は特にルールはないんじゃないかなと思います。

──青木さんと小松さんは、もしまたローズ監督とお仕事できるとしたら、次はどんな作品がいいですか?

青木 アメリカ開拓時代の物語なんかいかがでしょうか?

ローズ それはいいアイデアですね!

青木 役者の先輩方がどんどん海外でも活躍されるようになって道を切り開いていってくださっていますから、僕も表現力に関していろんな可能性を探りつつ、常に学んで様々な作品で呼んでいただける役者でありたいです。そしてローズ監督ともまたいつかご一緒できる日まで精進します!

 

 

ローズ 楽しみにしています。菜奈さんはどんなジャンルがいいですか?

小松 ホラー映画でローズ監督とご一緒してみたいです! 新しいJホラーが生まれるのではないかと思うとワクワクしますし、もちろん、海外のホラー作品に出演してみたいという気持ちもあります。

ローズ 是非やりましょう! 海外のホラー作品も良いですけど、やっぱり挑戦してみたいのは日本を舞台したJホラーです。いまアメリカではスーパーヒーローものなどビッグバジェットの作品、そしてオスカーにノミネートされるようなアート系の作品や社会派作品、そして昔から根強い人気のあるホラーやスリラーといったジャンルの作品が多く作られています。その中でボーダーレスに世界で一番可能性があるのは、ホラーやスリラーじゃないかなと僕は思うんです。何かを怖いと思う気持ちは普遍的ですから。なので機会があればぜひ小松さん主演でJホラーを撮ってみたいです。

 

 

小松 『サムライマラソン』、そしてマーティン・スコセッシ監督の『沈黙 –サイレンス-』(16年)に出演させていただいたことで、海外の監督の現場と日本人の監督の現場それぞれの魅力や楽しさを感じることができました。いま23歳ですが、これからもいろんなことを吸収して、どんどんいろんな作品に挑戦していけたらいいなと思います。ただ、そのためにはちゃんと結果を出さなければいけないので、役作りについてとことん追求したり、柔軟性をもって様々な要望に対応できる力を自分なりに磨いていきたいです。またローズ監督とご一緒できるように、一つひとつの現場を大事にして成長していけたらいいなと思います。

青木 なんだか雪姫に見えてきた(笑)。雪姫もどんどん外に興味を持って飛び出して成長していきますしね。

ローズ 本当にそうですね。またいつかご一緒できる日まで、この映画のサムライのように映画業界を走り続けましょう!

 

 

取材・文/奥村百恵
撮影/三橋優美子

 

青木崇高インタビューはこちら

 

プロフィール

 

バーナード・ローズ

1960年生まれ、イギリス出身。National Film and Television Schoolにて映画製作を学んだ後、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド「リラックス」等のMV監督を経て『マネー・ウォーズ』(86年)で長編映画監督デビューを果たす。監督・脚本を務めたホラー映画『キャンディマン』(92年)がカルト的な人気を誇り、一躍知られるようになる。その他の主な作品に、『不滅の恋/ベートーヴェン』(94年)、『アンナ・カレーニナ』(97年)、『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』(13年)などがある。

 

小松菜奈(こまつ・なな)

1996年生まれ、東京都出身。2008年よりモデルとして活動しながら、『渇き。』(14年)で映画デビューを果たし、第38回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。以降、『近キョリ恋愛』(14年)、『バクマン。』(15年)、『溺れるナイフ』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16年)などに出演し、『沈黙 -サイレンス-』(16年)でハリウッドデビュー。昨年は『坂道のアポロン』『恋は雨上がりのように』『来る』に出演。2019年は本作のほか『さよならくちびる』(5月31日公開)、『閉鎖病棟』(仮題/11月公開予定)が控えている。

 

青木崇高(あおき・むねたか)

1980年生まれ、大阪府出身。『バトル・ロワイアルII~鎮魂歌』(03年)で本格映画デビュー。その後、映画『海猿ウミザル』(04年)、『一命』(11年)、『るろうに剣心』シリーズ(12年・14年)、『渇き。』(14年)、『日本で一番悪い奴ら』『沈黙-サイレンス-』(16年)などに出演。2018年はNHK大河ドラマ「西郷どん」、『モリのいる場所』『おもてなし』『友罪』『かぞくいろ -RAILWAYS わたしたちの出発-』『来る』に出演した。ドキュメンタリー番組「セブンルール」(EX)ではメインパーソナリティを務めている。

 

作品紹介

 

『サムライマラソン』

1855年、幕末。迫る外国の脅威に備え、安中藩主・板倉勝明(長谷川博己)は藩士を鍛えるため、十五里(約58km)の山道を走る遠足(とおあし)を開催する。その裏で、とある行き違いから、藩士不在の城に藩主暗殺を狙う刺客が幕府から放たれる。ただ一人、迫る危機を知った唐沢甚内(佐藤健)は、暗殺計画を食い止めるため、仲間たちに危機を告げ共に戦うため、走ることを決意する。

原作:土橋章宏「幕末まらそん侍」(ハルキ文庫)
監督:バーナード・ローズ
脚本:斉藤ひろし バーナード・ローズ 山岸きくみ
出演:佐藤健 小松菜奈 森山未來 染谷将太 青木崇高 竹中直人  豊川悦司 長谷川博己
配給:ギャガ
公開中
©”SAMURAI MARATHON 1855”FILM Partners
公式サイト:https://gaga.ne.jp/SAMURAIMARATHON/

 

原作本紹介

 

「幕末まらそん侍」土橋章宏/ハルキ文庫

第37回城戸賞を受賞した「超高速!参勤交代」などの土橋章宏による、日本のマラソンの発祥である“安政の遠足”を題材とした歴史小説。2016年に刊行された「引っ越し大名三千里」は、星野源主演、犬童一心監督のメガホンで『引っ越し大名!』として映画化、今夏に公開されることが決定している。