『ジャスティスリーグ』のザック・スナイダー監督が黒澤明監督の傑作『七人の侍』(1954)からインスパイアを受け、構想20年以上をかけた二部構成のSF大作、Netflix『REBEL MOON — パート1: 炎の子』。本作では、『七人の侍』において農民のために立ち上がる侍が、銀河を支配する帝国「マザーランド」に反乱を起こすクセ者集団の戦士に置き換わっている。
今回、主人公の元戦士コラ役のソフィア・ブテラ(41)と、敵対する帝国の残忍な支配者、アティカス・ノーブル提督役のエド・スクライン(40)が劇中とは打って変わって、仲のいいツーショットを見せ、本作、ならびに日本の魅力について語ってくれました。
敵対するふたりの素顔
――自身の役について教えてください。
ブテラ 私が演じたコラは謎めいています。遥か彼方にある遠い星で農婦として働いて地道な村で暮らしているんですが、実はとても危険な過去を持っている人物です。その過去が物語に従って彼女に追いついていきます。
スクライン ノーブル提督は非常に残忍、残虐な人物です。王亡き後の帝国「マザーワールド」で、「王の眼差し」という戦艦に乗って、銀河の全てを奪い、何も与えないのです。
――お互いの役や演技をどう見ていますか?
スクライン 私が演じたノーブル提督はすごく明確なキャラクターでしたが、ソフィアは複雑なキャラクターを本当に見事に演じていると思います。コラは非常に不安定な役でしたが、本当に素晴らしい仕事をしています。
ブテラ 今回は撮影が153日と非常に期間が長く、彼の立場を考えると想像を絶します。彼は素晴らしくノーブルを体現していて、時として本当に彼から威圧や恐怖を感じるぐらいの状況でした。
エドとは前からの知り合いで、素の彼を知っているのですが、私が怯えているのは、役なのか、素の自分なのか、分からなくなることもありました。コラは、仲間を守ったり、助けるキャラクターですが、エドが演じたノーブルは一切、人間味を持っていない。そんな役を長く続けるのは大変なことだと思います。
スクライン 確かに、撮影期間が長かったので、ノーブル提督に圧倒された部分もあって、自分の影の部分に引きずられた部分はあったな(笑)。今は素の自分に戻って、光の中にいて、アティカス・ノーブルという面は 1ミリもないとはっきりと言えますよ(笑)。この経験は、今後の役者としてだけではなく、より良い人となるためにも素晴らしいものになりました。
――ブテラさんはコラとの共通点はありますか。
ブテラ 異なる文化で暮らしているというところがあると思います。私は10 歳の頃、内戦で祖国アルジェリアを離れて、フランスに移住し、家族から独立したらアメリカに引っ越しました。
だから、この星、地球で生きているという思いはあるのですが、時として、自分の祖国に対するルーツの意識、祖国とのつながりを強く感じられず、祖国への意識を持っている人にうらやましく感じます。コラも幼い頃、自分の惑星から連れ出されて、他の世界、他の星で生活することもしていますので、そこは共通点だと思います。
――スクラインさんは劇中のノーブル提督とは違って、笑顔が素敵な人ですね。『トランスポーター イグニション』では主人公を演じるなど、ヒーローとヴィランの両方を演じていますが、どちらがお好きですか?
スクライン まずは、よく書かれた脚本、また表現されているキャラクターということが大切だと思います。今、考えてみますと、非常によく書かれたいい人より、非常によく書かれている悪役の方が楽しいかもしれないですね。
私個人としては、いい両親、いい環境を持ち、世の中や周りの人に貢献できるように、毎日、バランスが取れた生活、ポジティブな気持ちを持った生活をしているつもりですが、時には、解放も必要だと思うんです。悪役を演じることは、罪悪感を持たない安全なやり方かもしれません。自分のダークサイドの部分を探求できる面白さがあります。
「アクション!」と言われたら、ノーブル提督として、本当にひどいことをするんですけれども、「カット!」がかかれば、普段の自分に戻って、衣装、メイク、スタントマンと普通に交じわることができる。また、家に戻れば、よき父親の役目を務めることもできるというわけです。