韓国映画界の実力派キャストで映画化した『警官の血』。裏社会と繋がる広域捜査隊のエース刑事パク・ガンユンには、チョ・ジヌン。ガンユンに疑惑の目を向ける、警官の父の血を受け継いだ若き刑事のチェ・ミンジェを、チェ・ウシクが演じ切る。
手に汗握るアクション、予想不能な展開の先にある衝撃のクライマックスで観客を魅了し、本国興行収入ランキング初登場第1位(2022.1.5 BOX OFFICE MOJO調べ)を記録した。
原作は「このミステリーがすごい!」2008年版の第1位に輝いた同名小説。昭和という時代の激流のなかで警察官三代に渡る壮大な物語を描いた警察小説の金字塔と呼ばれている、作家・佐々木譲の代表作だ。
本作を観た佐々木氏は担当編集者に「この映画化は大成功でしょう!」と伝えたという。日本と韓国。原作とは設定が異なる映画化を原作小説の著者としてどう見たか?
翻訳版とは違う嬉しさがある
ーー 今回、「警官の血」を韓国で映画化したいという話を聞いたのはいつですか?
小説の韓国訳が2009年に出版されてから、1〜2年後だったかと思います。そしてクランクインが2019年の12月ですね。
ーー 10年の歳月を経て製作に至ったんですね。韓国で映画にしたいと聞いたとき、率直な感想はいかがでしたか?
「わぁ、うれしいな」ですよね(笑)。もちろん小説が翻訳されたときも「自分が書いたものが、外国にも読者がいるだけの作品だったか」と、確認できた嬉しさはありました。
くわえて、世界中が知る高い水準の韓国映画の製作陣から、映画化したいと話が来たことは、とても感激でしたね。「自分の作品が、世界中の人に観てもらえる映画でも通用するのか」って。
ーー それは他国で自著の翻訳版が出版されるのとは、違った感情なんですか?
違いますね。小説はどうしてもその特性上、受けての数がマスになりにくい。でも自分が書いたもののテーマ、そのエッセンスが映像にされることで、その部分を楽しんでもらえる人数の桁も違うということで、嬉しいですね。
ーー 「警官の血」は日本でドラマ化をされていますよね。日本で映像化されることとは異なりますか?
今までの自分の映像化作品を考えてみても、日本で映画化された場合、外国の方に観てもらうということが、あまり想定できないんですね。韓国で製作された場合、韓国以外の国の人たちにも観てもらえることが期待できる。その部分で違いますね。
ーー韓国映画、ご覧になったものはありますか?
映画では、チェ・ウシクさんだと『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2017)、もちろん『パラサイト 半地下の家族』(2020)も観ていたし、それから、チョ・ジヌンさんの『お嬢さん』(2016)、『いつか家族に』(2014)は観ていました。チョ・ジヌンさんは、テレビドラマの「シグナル」(2016)も観ましたね。
ーー 韓国ドラマもご覧になるんですね。ハマっている作品はありますか?
先日終了した「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」(2022)を観ています。
ーー なにがきっかけで韓国ドラマをご覧になったんですか?
以前から多少は観ていたのですが、やはり「愛の不時着」ですかね。
ーー 韓国映画に関しては、”世界中で観られる映画”という他に、どういった印象がありますか?
“韓国映画”というジャンルで観ていたわけではないです。単純に”面白そうな映画”だという感覚で観ていました。『お嬢さん』なんて、原作はイギリス人の女性ですよね。だから文芸作品として観ていますし、韓流好きというわけではなく、単純に面白そうな映画があれば食らいついて観る、といった感じです。