出演したかった阪元裕吾監督作品
ーーあらためて本作への出演が決まったときのお気持ちをお聞きしたいです。
久保 阪元監督の作品が好きだったので、監督とご一緒できることが嬉しかったです。そして原作を読んだら、このマンガを阪元監督が映画にするということに、ものすごく興奮しました。
入巣役が自分じゃなかったとしても、多分、劇場に観に行っていただろうなと思うぐらい、とても楽しみにしていました。
平 私も阪元監督の作品に出たいと思っていたんです。しかもルカが、”こういう役を私はやりたいんだよな”と思った今までにやったことがないキャラクターだったので、もう絶対出演したいと思いました。
ーー『ベイビーわるきゅーれ』シリーズで知られる阪元監督ですが、阪元作品に出たかった理由を伺ってもいいですか？
久保 『ベビわる』の魅力って、もちろん殺陣とかアクションもそうだとは思うんですけど、私は、主人公2人が殺し屋なのに、どこにでもいる女の子たちの会話をしているところに、すごく魅力を感じているんです。
洗濯機の前だったり、ご飯を食べながらだったり、日常生活のなかでの会話から生まれる空気感みたいなものが”唯一無二だな”と思っていて、この映画でも、それが生まれるんじゃないかと思ったのが理由ですね。
平 私は”日常的な映画がやりたい”という気持ちがありました。まさに『ベビわる』のちさととまひろがそうなんですけど、阪元監督の作品って、セリフっぽくない言い回しで、キャラクターがしゃべるじゃないですか。
私はどちらかというと、他の出演作品ではハキハキしゃべる系の役が多いから、阪元監督作品の空気感を味わってみたかったんです。
ーー本作も阪元監督らしさが溢れていると思います。実際、撮影を通して阪元監督の印象はいかがでしたか？
平 監督が共同で脚本も書かれているので、台本を作る前から集まって、私たちが言いやすいようにセリフを変えてくださったんです。冒頭の天丼を食べているシーンなんてもう何十回と言い方を変えています。
ライブハウスでの待ち時間、バンドメンバーが言うセリフは、本読みのときに、「なんか最近面白いことありました？」とか「バイト時代の経験談とかあります？」って監督が聞いて、彼らの実体験をセリフにしているんですよ。
ーーそうやってセリフを作っていくんですね。
平 だからセリフがすごくリアル。私たちも現場でも会話しやすかったしね。段取りもちゃんと細かく丁寧にやってくださるので、本番は安心して臨めました。
あとキャストもスタッフさんも、みんなで一緒に良いものを目指して、物作りしているっていう感覚がありましたね。
久保 それに本当に楽しそうにされるんですよ。
平 まず監督自身が楽しんでいる(笑)。
久保 カットをかける、もうその声が笑ってる。それで”今、監督のいいゾーンにハマったんだな”と確認するというか。
細かい指示というより、感覚的なお話をされるんですけど、それが分からない瞬間がなかったです。こちらも演じていてめちゃくちゃ楽しかったですし、どれだけ監督を楽しませられるか、みたいな気持ちになりましたね。
