1980年代から1990年代に、数々の過激な作品を発表し、アダルト業界に革命を起こした“放送禁止のパイオニア”・村西とおる。この伝説の監督の、ハチャメチャにして情熱的な半生を描いた『全裸監督』がNetflixで配信された。村西を“全裸”で演じた山田孝之と、総監督を務めた武正晴との対談が実現した。
村西とおる役は「そんなに遠くないと感じた」
――作品、めちゃくちゃおもしろかったです。特に山田さんと吉田鋼太郎さんのシーンは爆笑してしまいました。
武 素敵なシーンでしたね。
山田 あのシーンで笑ってもらえて良かったです。
武 狂ったシーンでしたからね(笑)。
――山田さんは村西監督役のオファーを受けられたということですが、その時の心境はいかがでしたか?
山田 絶対おもしろくなるだろうから全力で楽しんでやろうと思いました。躊躇みたいなものはほぼなかったですけど、まぁ…、ゼロではなかったです。
――(笑)。村西監督と話し方もそっくりでしたね。
山田 事前に動画を見たり、ご本人にお会いしたりしました。ただ、お会いした時は会話するというよりは、どういう物事の伝え方をする方なのかなということはずっと観察していました。作り込んだというよりは、自分なりに余地を残していたというか、いい意味でいい加減にやったつもりだったんですけど、撮影が終わったあとに打ち上げに村西さんがいらっしゃって、みんなの前で話し出した瞬間、「うっ、なんか気持ち悪っ!」って思ったんですよ。「真似されてる!」って。
武 あははははは。
山田 どっちが真似したんだっていう(笑)。(満島)真之介も隣にいて、「え、気持ち悪い」となっていて。ということは、俺はけっこう寄せていたんだなと、あとで気付きました。
――なるほど。役者さんによっては、実在の方を演じる時はそっくりと言われるくらい作り込む方もいますよね。
山田 そうですね。僕は村西さんみたいにとんでもないことは思い付かないですけど、何となく感覚は理解できる部分がけっこうあったので、理解できなくてどうやって演じたらいいんだろうとか、すごく悩んでしまうという感じではなかったです。そんなに遠くないと感じたというか。
――武監督も山田さんは村西さんに合っていると感じていましたか?
武 まず、「村西さん役は誰が演じるの? 演ってくれる人いるの?」って思ったんですけど、山田さんって聞いて、合っているというか、「それはおもしろいじゃん」と。
山田 あはははは。
武 「やっぱりこの人か。やりそうだなぁ、おもしろくなりそうだなぁ、ありだなぁ」と思いつつも、どこまでやってくれるのかなという部分もありました。でも、現場でどういうふうに演じていくかを見ていて、あんまりそっくりさんを意識することはないんだけど、だんだん似てきて、何だこれはとびっくりしました。あの髪型も似ていて、スタッフもみんな「これこれ!」と言っていました。
山田 守り続けたもみあげが(笑)。
武 あのもみあげね! カメラが回っていない時も、フッと(村西さんが)出る瞬間があって、見ていておもしろかったです。急にスイッチが入ったりして。