芯が強くてポジティブ
ーー今では、いろんな作品に出演されていますよね。この映画に出演したときと今現在で変わったことはありますか?
はい。作品に入るときに、もっと役について考えられるようになりました。この『水は海に向かって流れる』では、楓ちゃんっていう役作りをしたつもりでいても、できてないところがたくさんあったなと思います。
楓ちゃんと自分が違うからこそ難しく感じたところも、もっとしっかり考えていれば、別のやり方があったんじゃないかな、と思ったので、それを他の作品に活かせるようにしています。
ーーでも、ちゃんと恋する乙女の顔でしたよ。とてもかわいかったです。物語の最後に楓ちゃんが笑うシーンも好きです。
ありがとうございます。台本には”微笑む”と書いてあったんですけど、私が演じていたときは”真っ直ぐな直達くんだからこその行動なんだろうな、仕方ないな”っていう気持ちで笑いました。
ーーご自身の役柄以外で本作の印象的なシーンはどこですか?
榊さんがお母さんと再会して「千紗は怒ったままなの?」って言われる、あのシーンがすごく印象的でした。自分の心に残って動かせないことも、相手にとっては意外と軽く捉えられていたりする。そういうときってすごく苦しいなって思って見ていました。
ーーこの作品をどんな人に観てほしいですか?
世代、年齢問わずいろんな方に観てほしいですね。なかでも、ちょっと心にモヤがかかっているというか、なにかに悩んでいるときに観てもらえると、背中を押してもらえるような、すっと前向きになれるような、そんな気持ちになんじゃないかなと思っています。
ーー當真さんは、気持ちがモヤモヤすることありますか?
うーん。考えてみると意外とないです。自分の長所だなって思っているんですけど、物事をポジティブに考えることが多いんです。だからそこまで悩むことがなくって、そんな重大なことじゃなければ”まぁいっか”っていう気持ちで片付けちゃいます。
ずっと悩んでいてもひとりで解決するのは難しいことだったり、悩んでいる時間がもったいないなと思ったりすると、”もういいや”っていう気持ちになりますね。
ーー監督に「芯の強さがある」と言われたのが分かる気がします。
監督に言われて初めて”そうなんだ”って思いました(笑)。
取材・文 / 小倉靖史
撮影 / 岡本英理
高校への通学のため、叔父の家に居候することになった直達。だが最寄りの駅に迎えにきたのは不機嫌そうな顔をする見知らぬ大人の女性、榊さんだった。案内された家の住人は、親に黙って脱サラしたマンガ家(叔父)、女装の占い師、海外を放浪する大学教授、そしてどこか冷めていて笑わない26歳のOL榊さん‥‥と、いずれも曲者揃い。そこに高校1年生の直達を加えて、男女5人ひとつ屋根の下、奇妙なシェアハウス生活が始まった。共同生活を送るうち、日々を淡々と過ごす榊さんに淡い思いを抱き始める直達だったが、「恋愛はしない」と宣言する彼女と自分との間には思いも寄らぬ因縁が‥‥。
監督:前田哲
原作:田島列島「水は海に向かって流れる」(講談社「少年マガジンKCDX」刊)
出演:広瀬すず、大西利空、高良健吾、戸塚純貴、當真あみ、勝村政信、北村有起哉、坂井真紀、生瀬勝久
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2023映画「水は海に向かって流れる」製作委員会 ©田島列島/講談社
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