泣かせようと思ったら泣かない
ーールパン三世という作品には、みんなが言いたくなる名言があります。最後に、おふたりの好きな名言、セリフを教えていただきたいです。
浪川:よく言っている話なんですけど、2011年に五ェ門を演じさせてもらってから、2、3 年「またつまらぬものを斬ってしまった」って、あのセリフを言ってないんです。言わせてもらえないのかな?って思った時期もあったんですけど、「血煙」のときに納得したことがありました。若い頃の五ェ門のセリフで「大切なものを守るために刀を抜く」っていうシーンがあるんです。だから、本当は「つまらぬものを斬って」はいけないんです。何か理由がないと刀を抜かない。
そもそも簡単に刀を抜かないのが居合なんです。そして刀を抜いたら一撃で倒す。それが五ェ門の美学なんです。僕もそこが五ェ門のかっこいいところだと思っています。今思うと「またつまらぬものを斬ってしまった」ってセリフを言ってない期間は、五ェ門になるまでの試練だったのかな?って思いました (笑) 。
栗田:昔は、月まで斬ってたけどなぁ‥‥(笑)。

ーー栗田さんの好きな名言・セリフは何ですか?
栗田:いっぱいありすぎて‥‥ (笑) 。
浪川:ルパンには名言がありすぎですよね。
栗田:今回の映画でいうと、やっぱり「人生はフィクション、楽しむだけさ」かな。
浪川:「楽しむだけさ」ってかっこいい。それをさりげなく言うんですよね。いきなり言うんですよ、このセリフ。
栗田:そういうのって「かっこよく決めてください」って言われて、かっこよくしゃべろうとするとかっこ悪いのよね。お笑いの仕事で笑わせようと思っても、ちょっと間違えると絶対誰も笑わないの。だから笑わせようと思ってしまったら笑わないし、泣かせようと思ってやったら泣かないの。さりげなく何かしたときにドーンとウケたり、グッと泣いたりするの。
浪川:なるほど、真髄だ。
栗田:このセリフも何種類か録ったんだよ。で、「監督にお任せします」って言って終わったの。あれを選んだのは監督なんです。
浪川:そうだったんですね。

ーーその後のシーンで、銭形の「実に馬鹿馬鹿しい物語ってことだ」というセリフがあります。個人的には、ルパンの「人生はフィクション、楽しむだけさ」と対になっていると感じました。
浪川:おしゃれですよね。
栗田:なるほど。それって『カリ城』の名言と一緒だよね。

取材・文 / 小倉靖史
撮影 / 岡本英理
栗田貫一:ヘアメイク:小林潤子 / スタイリスト: 鎌田里美
浪川大輔:ヘアメイク:鈴木和花 / スタイリスト: 村田友哉

世界地図に存在しない“謎の島”を目指し、ルパン三世たちはバミューダ海域へ向かう。目的は、これまで彼らに刺客を送り続けてきた黒幕の正体と、隠された莫大な財宝を暴き出すこと。しかし島に近づいた瞬間、狙撃によって飛行機は撃墜され、一行は死の島へと不時着する。そこに広がっていたのは、朽ちた兵器や核ミサイルが山のように積まれ、かつて兵器として使われ、捨てられた“ゴミ人間”たちが徘徊する、世界の終わりのような風景だった。霧に覆われたその島には、24時間以内に死をもたらす毒が充満し、逃げ場はない。島の支配者・ムオムは不老不死を掲げ、世界を選別と排除で支配しようとしていた。銃も刀も通じない“死なない敵”を前に、ルパンは過去と誇り、そして盗人としての矜持を賭けた知略の戦いに挑む。果たして、ルパンは24時間以内にすべてを盗み出し、生きて島を脱出できるのか。
監督:小池健
原作:モンキー・パンチ
声の出演:栗田貫一、大塚明夫、浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一
スペシャルゲスト:片岡愛之助、森川葵
配給:TOHO NEXT
©TMS
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公式サイト lupinthe3rd