「LUPIN THE IIIRD」シリーズのルパン
ーーシリーズ第1作の「次元大介の墓標」から本作につながる伏線が見られました。栗田さんは、小池健監督から本作の構想を最初から聞いていらしたんですか?
栗田:いや、聞いてなかったんですよ。1作品ずつが全部完結していると思っていましたね。だから銭形編となる「銭形と2人のルパン」を観て、今回の映画に繋がってきたんだなって、初めて思いました。今思えば「墓標」の最後は、銭形の意味深な言葉で終わっている。小池さんの洒落っ気というか、なにかフックに引っ掛けている。「あ、そう言われてみれば、そうだったんだな」って感じです。

ーー本作は「LUPIN THE IIIRD」の劇場版映画となります。お芝居をする上でTVシリーズとの違いをお聞きしたいです。栗田さんは、よくTVシリーズのルパンをポップなルパンと仰っています。それでいうと「LUPIN THE IIIRD」は、ハードボイルドなルパンという感じでしょうか?
栗田:ハードボイルドっていうより深いって感じかなぁ。ピアノで例えると、鍵盤の中央から右側でTVのルパンの声を演じていたんですけど、「LUPIN the Third ~峰不二子という女~」という作品で、山本沙代監督が演出で左側の鍵盤を弾いたんですよ。そのとき「あ、そうか、低いところもルパンでいいんだ」と思ったんです。海に例えるなら「LUPIN the Third」は、海底の方のルパン。で、浮上すると「うわぁぁ」ってTVシリーズのルパンが出てくる。その深さの違いで余計に引き立つし、TVではそういうルパンでいきたい。
浪川:栗田さんの言葉をお借りするとポップなルパンって、みんな好きじゃないですか。ルパンが「ふーじこちゃぁ〜ん」って言って、不二子も「るぱぁ〜ん」って言うとか。そういったルパン三世の様式美を聞くと、やっぱり「よしきた!」みたいな感覚があります。だけど、小池ルパンといわれる「LUPIN THE IIIRD」シリーズに関しては、その様式美がないというか、人間がしゃべっているイメージが僕にはあります。
栗田:いわゆる実写映画、実写ドラマを観た気がするんですよ。だから「銭形と2人のルパン」でも、列車の上からルパンが次元とふたりで冷たい河に飛び込むシーンがあるけど、あの寒そうな画、音、空気感が、いつものルパンと全然違うじゃないですか。普通のリアルな映画を観るような感じだよね。
ーーポップなTVシリーズだと、あのシーンはルパンが氷づけになりますよね、きっと。
栗田:うん、それでセリフも「コケっ」とか言っているかもしれない。
浪川:震えて顎もガチャガチャガチャって音を立てたり。



