Aug 23, 2024 interview

岡田将生インタビュー『ラストマイル』 仕事の原動力は"怒り"と"ときめき"

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怒りという名の情熱

ーーこの作品には流通の問題、低賃金労働といった社会的な問題と、重ためのテーマが盛り込まれています。そういった問題に直面して困っている人たちも、映画を観たらちょっと心が軽くなると思うんですよね。

そうですね。

ーー岡田さんは俳優のお仕事で、そういった悩み、それを解消するためにすることはありますか?

僕、最近気づいたんですよ。この仕事を何年もやらせてもらっている原動力って何なんだろう?って考えると、どこか怒りに通じているんですね。何かにちょっと怒っていて、それは社会に対してかもしれないし、自分の演技に対して辛辣な声をもらうときも、もちろんあるので、「次こそは、次こそは」という怒りなのかもしれない。そういう感情で「僕は成り立っていたんだな」ということに気づきました。「自分も似たような感情が流れているんだな」って、撮影しているときにすごく感じた瞬間があったんですよ。

この映画にも、そういった辛辣な声が、すごく響いているので、僕もこの作品を見たときに「他人事じゃない」と感じました。日本人特有なのか、働くということに対して、どこか”抑え込まなきゃいけない”って感覚は、皆さん多々あると思うんです。でも「それを変えていきましょうよ」っていう気持ちが、この俳優の仕事をしていても、すごくある。僕も俳優という仕事を、どこかそう感じていたんだろうなと。最近よく考えるようになったんですよね。

ーー満島さんが演じた舟渡エレナと岡田さんが演じた梨本孔は、アメリカ的ビジネス志向と日本的働き方のような対比で描かれていると思っています。今のお話だと、個人的にはエレナっぽい考え方に共感していたんですか?

そうですね。どっちかっていうと、そっちなのかもしれないですね。今回、この映画に関しては、前半は観てくださる方々の目線と重なるように意識はしていたので、孔の目線でエレナを見続けないといけない。でも脚本を読んでいる段階だと、エレナさんの心の叫びなのかな、自分に通ずるものはあるなとは思っていました。