Feb 23, 2017 interview

中川大志×葉山奨之インタビュー「ただの胸キュン映画と思わず、弱さもすべてさらけ出すキラの人間臭さに注目して欲しい」

A A
SHARE

大切な人を再認識させてくれる映画です(中川)

 

──あらためて、どんな作品に仕上がったと思いますか?

中川 こういった少女マンガ原作の胸キュンの映画は、この数年、すごく多かったと思うんです。でも、今作はしっかりとした裏テーマがあって、そのテーマが大きいだけに、胸キュンやキラキラしているだけでなく、登場人物の人間臭いところも全部描かれているんですよね。そういう意味では、すごく厚みを感じる作品になったと思います。

──たしかに、胸キュン映画と思いきや、一歩踏み込んだテーマにグッと心を掴まれました。

中川 そう思ってもらえると嬉しいですね。いわゆる胸キュンのシーンは思い切りコテコテかつ、ド直球に演じるんですが、それ以外のシーンの、2人で大きな壁を乗り越えるところや、矢部とのぶつかり合いなど、中途半端で演じることがいちばんダメになると思ったので、すべて全力で演じたんです。だからこそ、表現できた熱い部分をしっかりと描けたんじゃないかなって思います。

 

soro_nakagawa (4)

 

葉山 普段僕は、少女マンガを読まないので、読み進めるのに時間がかかるんです。でも、この「きょうのキラ君」は、すごく面白くて、“今後どうなるの!?”という思いのまま抵抗感なく、読み進めることが出来たんです。…というか、すごくハマってしまったんですよ。きっと20代の人も、それ以上の人も楽しめるし、なによりも男性に見てもらいたいんです。ちょっと映画館でチケットを買うときに抵抗があるかもしれませんが(笑)、一度その壁を乗り越えて見てもらえれば、見方も変わると思うし、友達同士で見れば友情も深まると思うので、ぜひみんなで見に来てもらえたら嬉しいです!

中川 あとは、本作を見た後に、大切な人との時間は当たり前ではなくて、すごく儚いものなんだと気づき、大切な人の存在を再認識させられるようなあったかい映画になっているんです。なので、好きな人と観るのはもちろん、この映画を観て、思い浮かんだ好きな人に告白しに行くような、勇気の起爆剤のような存在になってもらえたら最高です。

 

kirakun-09a

 

──では最後に、おふたりのおすすめのエンタメ作品について教えて下さい。

葉山 僕は村上春樹さんの『東京奇譚集』です。移動中などにさくりと読める短編集が好きで、この本を手に取ったんですが、当時の自分とすごくリンクしてまるで自分がその体験をしているかのような感覚に陥ったんです。なかでも面白かったのが『ハナレイ・ベイ』。すごく独特の世界観なんですが、短い中でもグッと引き込まれるのでぜひ読んでもらいたいですね。

中川 僕が人生で初めてハマったマンガが『GANTZ』なんです。もともと現実との境目があやふやなSFが大好き。激しいアクションの中にも、物語がしっかりと描かれていて、すごく面白いんです。さらに、パワースーツや武器など男の子が憧れる要素しか詰まっていないんですよ。すでに映画化されてしまっていますが、次に映画化の話があったらぜひ出演したいですね。

 

kirakun-10

 

取材・文/吉田可奈
撮影/吉井明

 

プロフィール

 

kirakun-11

中川大志

1998年6月14日 東京都生まれ。10年に映画『半次郎』でデビュー。ドラマ「家政婦のミタ」に出演し話題に。その後ドラマ「水球ヤンキース」、「GTO」、NHK大河ドラマ「真田丸」、映画『四月は君の嘘』などの多くの作品に出演。4月15日公開予定の映画『ReLIFEリライフ』の公開が控えている。。

 

kirakun-12

葉山奨之

1995年12月19日生まれ 大阪府出身。11年のドラマ『鈴木先生』で俳優デビュー。連続テレビ小説『まれ』でヒロインの弟を好演。映画『十字架』『海よりもまだ深く』『青空エール』『古都』『アズミ・ハルコは行方不明』など話題作に続々と出演。4月8日公開の主演映画『春夏秋冬物語』の公開が控えている。

 

作品紹介

 

kirakun-13

映画『きょうのキラ君』

漫画家、みきもと凛による大ヒットコミックを実写化。カーテンにくるまってキスをする“カーテンの刑”や、クラス全員のまえで付き合っている宣言をするなど、ベタながらキュンキュンするシーンはもちろん描かれているが、今作の肝はそこではない。昨今の胸キュン映画とは一線を画す大きな“裏テーマ”があるのだ。冒頭で暴露されるのは、主人公のキラ(中川大志)が余命1年であること。明るくクラスの中心人物であるキラに想いを寄せていたいじめられっ子で暗く人見知りのニノン(飯豊まりえ)は、事情を知り、キラ君の傍にいようとする。そのニノンの行動により、キラは心境の変化を遂げていくのだが――。注目すべきはこの2人の関係を支える友達たちの存在。ふたりだけの世界にするのではなく、しっかりと家族、友人など周りの視点を入れることによって、より多くの人のすぐそばにある物語の様に感じるのだ。だからこそ、共感し、涙を流してしまう。ヒロインの飯豊まりえの自然体の魅力も相まって、世代問わず楽しめる作品に仕上がっている。

映画『きょうのキラ君』
監督:川村泰祐
原作:みきもと(『別冊フレンド』講談社刊)
出演:中川大志 飯豊まりえ 葉山奨之 平祐奈 三浦理恵子/安田顕 ほか
脚本:中川千英子
音楽:富貴晴美 
主題歌:[Alexandros]『今まで君がないた分取り戻そう』(UNIVERSAL J/RX-RECORDS
配給:ショウゲート

2017年2月25日(土) 全国ロードショー

公式サイト:http://www.kirakun.jp/

©みきもと/講談社
©2017『きょうのキラ君』製作委員会

 

原作紹介

 

『きょうのキラ君』 みきもと凛/講談社

映画と本筋は一緒だが、原作ではより登場人物たちの濃い心情や、2人が付き合うことで変化していくお互いの感情が細かく描かれている。『近キョリ恋愛』や『午前0時にキスしに来てよ』など、学校の先生×生徒、現役アイドル×女子高生など、夢溢れる設定で楽しませてきたみきもとが、等身大の高校生同士の恋愛を描いた渾身作。少女マンガといわれるものだが、続きが気になる展開があるため、性別問わず楽しむことができる。

■電子書籍で購入する
Reader Storeはこちら
ブックパスはこちら

 

関連作品

 

-中川大志さんのおススメの本

『GANTZ』 奥浩哉/集英社

『週刊少年ジャンプ』(集英社)において連載され、実写で映画化もされた大ヒットコミック。現実と非現実が交差する世界観と、派手なアクションシーン、そしてドラマティックな物語が世代を超えて人気を集め社会現象ともなった。謎の物体「ガンツ」に集められた、死んだはずの人々は理由もわからないまま、謎の星人と戦わなくてはならない。その戦いに生き延びながら登場人物たちは成長していくアクションエンターテインメント。

■電子書籍で購入する
Reader Storeはこちら
ブックパスはこちら

 

-葉山奨之さんのおススメの本

『東京奇譚集』村上春樹/新潮社

肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却――。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅に迷い込んだのは、偶然と驚きに満ちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」や、サーファーの息子を亡くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えた者たちの不思議な運命をたどる5つの物語。人は受け入れがたいものと向き合ったときに、どうなるのか…。短編ながら、すべての物語に考えさせられるメッセージが込められた1冊。