羌瘣になるための修行
ーー最初に羌瘣のオファーを受けたときのお気持ちは覚えていますか?
すごく嬉しくて、とても光栄だと思いました。けれど、人気のある原作で、1作目の映画『キングダム』が成功されて、お客さんもたくさんついているなか、羌瘣という人気キャラクターを自分が、2作目から演じるのかと思うと、嬉しいという気持ちとプレッシャーとが混ざり合っていました。
ーー2作目の『キングダム2 遥かなる大地へ』は、羌瘣無双でしたからね。そして3作目の『キングダム 運命の炎』、そして今作『キングダム 大将軍の帰還』になるわけですが、「キングダム シリーズ」で羌瘣を演じて、仕事やプライベートでも、ご自身で変わったことはありますか?
今までもアクションをやらせていただく機会はあったんですけど、やっとこの作品でアクションを認められたというか、イメージを定着することができたと思っています。
『キングダム2 遥かなる大地へ』を観たたくさんの方から「アクションすごかったね」と今までにないくらい大きな反響をいただいたことが自信につながりました。
今までやってきたアクションとは、レベルの違うものに「キングダム シリーズ」では取り組んでいるので1回や2回見ただけじゃ覚えられないんです。本当に修行。羌瘣の動きを数カ月も修行して、やっと手に入れたっていう感じでした。この作品を通して、今後、自分が30代になっても、動けるまではアクションをやり続けていきたいなという覚悟が決まりました。
ーー数カ月の修行というのは、どんなことをされたんですか?
最初は本当に地味なトレーニングから始めました。そのジャッキー・チェンの映画での修行シーンにあるような、膝に物を乗せて落とさないようにしたり、浮遊感のある動きを作ったり、羌瘣に必要な筋トレをしました。
手の先は動かさず、腰やその周りを八の字に回すみたいな不思議な動きを体に染み込ませていきました。”なかなか立ち回り始まらないな” “剣持ちたいな”って思うほど(笑) 。 それくらい最初は地味なトレーニングから始まりましたね。
それが定着したら、いろんな動きをつなげて立ち回りをどんどん長くしていって、身体に覚えさせて、という繰り返しでした。本当に今までにやったことがない動きで、”この動きだったら右足出したいのに、出せない、逆の足なんだ” みたいな。いつももどかしい気分でした。
ーー自分が動きたいアクションの動きではない、と。
自分が出したい足じゃない方を、いつも動かすから、なかなかスッと入ってこない。でも、それが入ってくると、今まで見たことないような不思議な動きになっていて面白いなと思っていました。
ーー羌瘣のアクションは、別のアクション作品で見られる動きとは全然違うんですね。
全く違いますね。いつもだったら、斬る、斬るっていうひとつ動作の連続が多いんです。でも、羌瘣はそうじゃなくて、全部つながっているというか、舞っている感じ。そこに、人間離れした動きとか、すべてを入れるのが難しいんです。
一連の動作が止まって見えないように、骨と骨も全部細かくつなぎ合わせられている動きみたいな。それの連続で羌瘣になりました。なんか言葉にするのも難しいですね。