どうしても受かりたかったオーディション
池ノ辺 今回、咲耶さんは⼤学⽣の瀬川紀⼦を演じたわけですが、難しい役どころだったと思います。でもオーディションでは誰もが咲耶さんをみて「この子だ」と思ったと聞きました。
荒井 俺はそう思ったけど、みんながどう思ったかはわからないよ (笑)。
池ノ辺 咲耶さんは実際にオーディションを受けてみてどうだったんですか。
咲耶 監督は、演じるんじゃなく、台本を「ただ読んでほしい」とおっしゃったので、逆に困惑して‥‥。私が思っていたより難しい役だなと感じました。
池ノ辺 そういえば咲耶さんは事前に台本をしっかり読み込んで覚えてきたんですよね。
咲耶 そうなんです。かなりプランニングして臨んだんです (笑)。

荒井 すみませんね (笑) 。そうやって準備したのに、オーディションでは棒読みしろと言われてね。
咲耶 私はどうしても受かりたかったんです。それで気合が入っていたので、逆にすごく緊張しました。
荒井 オーディションでは一番最後だったんだよ。それまで絶望的な状況で、どうしようかと思っていたところでね。
池ノ辺 そんなに絶望的だったんですか。
荒井 いや、今の子は大きいんだよ。オーディションに来る子たちもみんなすらっとして背が高い。1969年という設定なんで、あの頃は女子で170センチあったらバレーボールの選手かと言われるぐらいで、158センチが平均かな。『ALWAYS 三丁目の夕日』の小雪、いねえよと思ったもの。それでどうしようとなっていたら、最後に小さい人が現れた。

池ノ辺 確かに背が高いイメージではないですよね。咲耶さんは監督の最初の印象はどうだったんですか。
咲耶 お会いする前は、(母の広田)レオナさんから聞いていた印象しか知らなかったので、怖いのかな、どうかなと思っていました。しかも私がオーディションに行く前に、レオナさんから「あたし多分、荒井に嫌われているから落ちたらあたしのせいだと思うから、ごめん」と言われていて、「え〜」と思っていたんです (笑)。でも、オーディションで少しお話をしたら「シャイで可愛い人なんだ」とわかりました (笑)。そこからお話ししやすくなりましたね。
池ノ辺 オーディションを受けた後は、手応えはあったんですか。
咲耶 私自身はわからなかったんですけど、母に「オーディション、どうだった?」と聞かれて、監督がどんな様子だったか話したんですよ。それを聞いて母は心の中で「あ、こいつ受かったな」と思ったみたいです。
池ノ辺 レオナさんにはわかったんですね (笑)。
咲耶 そうみたいです。私はわからなくてドキドキでしたけど。
