Aug 08, 2025 interview

監督・ギャレス・エドワーズと脚本・デヴィッド・コープが語る 世界を熱狂させたDNAはいまも息づいている “本物”を追求した『ジュラシック・ワールド/復活の大地』

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30年変わらぬスピルバーグとのシンプルな脚本作り

池ノ辺 コープさんは、スピルバーグから声がかかって、1作目と2作目で一緒に脚本を書いたんですよね。

コープ そうです。30年ぶりのジュラシックだったんですが、ありがたいことにスピルバーグとの仕事、作品に対する取り組み方というのは30年前も今も変わっていませんでした。彼との仕事では、とにかく2人でアイデアを出し合い、やり取りをして、お互いに納得するところまで発展させていくというやり方です。その時に、極力他の人たちの意見は入れない。彼と自分だけでいろいろと意見を交わして、自分たち2人が納得し、面白いと思い、満足できればいいという、本当にシンプルなプロセスなんです。それはスピルバーグとの仕事で特に自分が気に入っているところですね。

スピルバーグが素晴らしいのは、世界的にもあれだけの名声をもって、莫大な収益を上げて映画業界に君臨する帝王ですが、一方で、観る人を楽しませたい、喜ばせたいという少年の頃と同じ思いを持ち続けている。今でもその姿勢が変わらないというところは、本当に尊敬しています。

池ノ辺 観る人を楽しませたい監督といえば、私は山崎貴監督を思い浮かべるんですが、コープさんが『ゴジラ-1.0』(2023) を観て刺激を受けたという噂を聞いて、山崎貴監督が、その話を聞きたいとコメントされているのをSNSで見たんですが(笑)。

コープ 『ジュラシック・ワールド/復活の大地』の脚本は、『ゴジラ-1.0』が公開された時にはすでに書き上げていましたから、この作品が直接影響を受けたということではないのですが、『ゴジラ-1.0』にすごく刺激を受けているというのは事実です。実は数週間前にもまた観ていました。僕にとっては、あの作品は本当にシンプルで美しいキャラクターの物語なんです。最初に主人公があの島に到達した時点で、主人公のキャラクターが理解できる。彼の抱えている問題、悩み、それは恥という思いであったり痛みであったりするわけですが、それが最初から見えていて、この映画全体を通して彼はそれを克服しようとする。本当に完璧な、そして映画的なストーリーテリングだと思うんです。もちろん作品全体も素晴らしくて美しいというのはわかっているんですが、物語を書くということを仕事にする自分からすると、主人公をはじめとするキャラクターたちの物語が素晴らしくて、本当に多くの刺激を受けています。

池ノ辺 素敵なお話をありがとうございます。では最後の質問ですが、お二人にとって映画ってなんですか。

コープ 人生がより面白くなるもの、です。

エドワーズ 大きな音、声の付いた夢、ですね。直接体験していないけれども、自分の記憶の中にある思い出でもあるかな。でも、実際には映画というものは自分の持つ言葉を超えているものだと思うので、言葉で説明するのは難しいですね。例えば音楽のDコードがどう美しい和音なのかを説明するのと一緒で、言葉にした途端に陳腐になってしまうような気がするんです。

インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵
撮影 / 岡本英理

プロフィール
ギャレス・エドワーズ(Gareth James Edwards)

監督

UCA芸術大学で映像を学び、BBCやディスカバリー・チャンネルなどの作品のVFX制作に携わる。『モンスターズ/地球外生命体』(2010)で長編監督デビュー。その後、『GODZILLA ゴジラ』(2014)、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)、『ザ・クリエイター/創造者』(2023)などの監督を務める。

デヴィッド・コープ (David Koepp)

脚本

UCLA映画学科を卒業後、1988年より脚本家の活動を開始。『アパートメント・ゼロ』で脚本家デビュー。『ジュラシック・パーク』(1993)で、スティーヴン・スピルバーグ監督の依頼を受け、マイケル・クライトンの原作を元に脚本を執筆し、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997)でも脚本を担当。その他に、『ミッション:インポッシブル』(1996)、『スパイダーマン』(2002)、『宇宙戦争』(2005)、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008)、『天使と悪魔』(2009)なども手掛ける。

作品情報
映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』

不朽の名作『ジュラシック』シリーズの新たな章の幕開けとなる最新作。

監督:ギャレス・エドワーズ

脚本:デヴィッド・コープ

製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、デニス・L・スチュワート、ジム・スペンサー

出演:スカーレット・ヨハンソン、マハーシャラ・アリ、ジョナサン・ベイリー、ルパート・フレンド、 マヌエル・ガルシア=ルルフォ、ルナ・ブレイズ、 デヴィッド・ヤーコノ、オードリナ・ミランダ、 フィリッピーヌ・ヴェルジュ、 ベシル・シルヴァン、 エド・スクライン

配給:東宝東和

©2025 Universal Studios. All Rights Reserved.

2025年8月8日(金) 全国ロードショー

公式サイト jurassicworld

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『哀れなるものたち』ほか1100本以上。最新作は『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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