Aug 08, 2025 interview

監督・ギャレス・エドワーズと脚本・デヴィッド・コープが語る 世界を熱狂させたDNAはいまも息づいている “本物”を追求した『ジュラシック・ワールド/復活の大地』

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池ノ辺 ほぼCGかと思ったら、実際に撮影しているシーンが多かったですよね。

エドワーズ この映画を作るにあたっては、いくつかのルールがあって、できるだけCGを使わず実際に撮影する、というのもその一つなんです。『ジュラシック』シリーズの映像でいえば、恐竜は、32年前の第1作の時点でかなり完璧な出来でしたよね。それと遜色ないものにするためには、恐竜が生息する環境のリアリティがどうしても必要だったんです。ですからセットで撮るのではなく、タイのジャングルの中で夜中に撮影するというようなこともしましたし、マングローブの生い茂る沼にも行きました。ロケハンの時にはスカーレット(・ヨハンソン)もいて、みんなで沼に腰まで浸かって移動していたんですけど、途中、彼女が見ていないところで、黄色と黒の毒々しい模様の巨大な毒ヘビが出たんです。ヘビを捕獲する人も同行していたので、彼に捕獲してもらったんですが、巨大な毒蛇が出たことはスカーレットには内緒にしておこうと、撮影が終わるまで、彼女には言いませんでした (笑) 。

池ノ辺 スカーレットの目の前に出てきたら大ごとでしたね。

エドワーズ 本当にその通りです (笑) 。今が最悪の状態なんだから、次には少しはマシになるはずだよ、とみんなに言い聞かせていたんですが、実際にはさらに悪くなっていくという感じでした。

池ノ辺 スカーレットは本当にかっこよかったです。今回の撮影で彼女はどんな感じだったんですか。

エドワーズ ご存知のようにスカーレット・ヨハンソンは、子どもの頃からの筋金入りのジュラシックファンで、ジュラシックのプレイハウスも持っていたくらいで、自分はジュラシックの映画に出るんだ、出たいんだとアピールし続けてきた人なんです。ですから、今回の撮影では、彼女はどんな状況に対しても泣き言も文句も絶対言わなかった。そんな彼女が座長でしたから、誰も文句は言えませんでしたね。

池ノ辺 監督も、ずっとジュラシックがやりたかったんですよね。

エドワーズ ちょっとはね(笑)。

池ノ辺 ちょっとだけですか?(笑)

エドワーズ 僕のこれまでの映画は、このジュラシックを撮るためのオーディションだったんじゃないかと思っていますよ(笑)。『ジュラシック・パーク』の1作目と2作目の監督をしたスピルバーグがさまざまな作品で見せてくれたいろんな手法を使って『GODZILLA ゴジラ』(2014) を撮影したんですが、撮影が終わったあと、僕は疲れ切っていて、ある晩、バーで飲もうと友達と出かけました。そのうち酔っ払って、落ち込んで、「こんなに大変なのに、なんで自分は映画なんか作ってるんだろう」と思っていたんです。そうしたら夜中の2時頃に自分のスマホにメールが届いたんです。誰だろうと思ったら、ピーター・ジャクソンからでした。見ると画像が添付されて、銀色の髭の男が写っている。「『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフかな」なんて思っていたら、スティーヴン・スピルバーグだったんです。スピルバーグが『GODZILLA ゴジラ』を観てくれて、「あれは素晴らしかったよ」と言っているのを、ピーターが撮影して送ってくれたんです。しかもそこは、ジョージ・ルーカスの誕生日パーティーの会場でした。

池ノ辺 それは最高の夜になりましたね。