Jul 30, 2025 interview

見里朝希 監督が語る ストップモーションの限界に挑んだ“かわいい革命” Netflixシリーズ「My Melody & Kuromi」

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エンタメ性とメッセージ性の融合、イースターエッグが散りばめられた優しい世界

池ノ辺 本作を見るマイメロディやクロミのファンの方へ、メッセージをいただけますか。

見里 今回、マイメロディとクロミのファンの方に納得していただけるように、とことんマリーランドの世界観を追求しました。二人だけじゃなくて、マイメロディのお友だちはもちろん、この作品のオリジナルとして登場するキャラクターもいて、新規でサンリオさんにデザインしていただいたりもしました。僕の好きなモルモットのキャラクターも登場します。そうしたキャラクターたちは、画面の中のいろんな場所で、愛着を持って動き回っています。そして、ファンの皆さまに喜んでいただけるようなちょっとしたサプライズを用意しています。それらはイースターエッグのように隠されていたりします。これは、ストーリーを追うだけでは見逃してしまうと思うので、ぜひ何回も観ていただけると嬉しいです。

また、今回の物語は、ただかわいいだけでなく、アクションや攻めた内容にも挑戦しています。ですから、今までのファンの方だけでなく、マイメロディやクロミを知らなかった方にも楽しんでいただける作品になっていると思います。年齢、国籍、性別問わず、大勢の方に観ていただけると嬉しいです。

池ノ辺 ストーリーもちょっと大人向けにもなっているんですよね。そこも素晴らしいと思いました。

見里 本来のキャラクターの魅力を維持しつつ、さらに新たな一面を描く。そのキャラクターたちの一面を最大限に生かしたような物語になっているんじゃないかと思います。特に物語の中盤以降、マイメロディとクロミが互いに協力し合い支え合う展開には、自分でもうるっとくるものがありますし、それがクライマックスに向かってどんどん胸が熱くなってくるんです。視聴者の皆さんも、ご覧いただければそうなってくれるだろうと、確信しています。

池ノ辺 では最後の質問です。監督にとって映画、映像作品ってなんですか。

見里 自分自身が普段、言葉で言えないようなことを伝える、映像はそのための手段だと思っています。そして、自分が伝えたいこと、そのメッセージを、観客が納得して受け止めてくれるようにするために、エンターテインメント性が存在するのだと思います。だからこそ、エンターテインメント性とメッセージ性というものがきちんと両立した融合体であることが大切なのだと思います。今回の「My Melody & Kuromi」も、ただただ映像としての楽しさを見せたいという思いはもちろんですが、その中にあるメッセージにも、共感していただけると嬉しいです。

インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵
撮影 / 岡本英理

プロフィール
見里 朝希(みさと ともき)

監督

2020年、30歳以下の若手クリエイターを対象とする国際賞Young Gunsを受賞。2021年、ストップモーションアニメ「PUI PUI モルカー」がTV放送開始。『とびだせ!ならせ! PUI PUI モルカー』(21)、『ならせ! PUI PUI モルカー + DRIVING SCHOOL 予習編』(22)が劇場公開。現在はアニメーション制作会社WIT STUDIOに発足したストップモーションスタジオ「TORUKU from WIT STUDIO」所属。

作品情報
Netflixシリーズ「My Melody & Kuromi」

マリーランドでケーキ屋を開いたマイメロディ。森でハートに出会ってから、マイメロディの周りでは不思議なことが起こるようになっていた。一方、マイメロディのお店の向かいにあるクロミの和菓子屋はいつもガラガラ。クロミはマイメロディのケーキの秘密を探りたがっている。人気パティシエのピスタチオが審査をするスイーツコンテストに向けて張り切るマイメロディとクロミ。マリーランドの運命を揺るがす出来事が起こるとは誰も知らずに‥‥。

監督:見里朝希

脚本:根本宗子

©’25 SANRIO 著作(株)サンリオ

Netflixにて独占配信中

作品ページ netflix.com/mymelody&kuromi

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『哀れなるものたち』ほか1100本以上。最新作は『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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