映画館は笑いと涙を共有する素敵な場
池ノ辺 今回この作品に監督として、また助監督として関わってこられたわけですが、お二人にとっての映画とは何ですか。
パーセル お先にどうぞ(笑)。
ローダン これは、映画に限らずアート全般にも言えることだと思うのですが、何らかの感情を呼び起こすものだと思います。そしてそれはすぐに忘れてしまうようなものではなく、心の中に長く残るもの、さらに言うなら、世界で何が起こっているのかということを考えさせてくれる、そういうものだと思います。

パーセル 私はそんな深い話はできないんですけど(笑) 、私にとって映画は、暗い大きな部屋の中でポップコーンを食べながらビッグスクリーンを観る、そこに映っているものに大勢の人たちと一緒に引き込まれて、泣いたり笑ったりする、そういうものです。今回の映画を作っているときも、これは小さな子どもにとっての初めての映画館体験の映画になるかもしれないと思いました。周りの人たちと一緒に笑いと涙を共有する、そういう場が、映画館、そして映画にはあると思うのです。
池ノ辺 それをお仕事にしているというのはすごく幸せなことですね。
パーセル/ローダン そう、本当に幸せです。
インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵
撮影 / 岡本英理
監督
1999年にバリーファーモット・カレッジを卒業後、設立されたばかりのカートゥーン・サルーンに参加。アニメーション業界で20年以上の経験を持つ。アニメーション制作のソフトウェアに精通し、スタジオの技術面を支えてきた。初期短編作品である「FROM DARKNESS」(2002)や『プレンダンとケルズの秘密』(09)で特殊効果スーパーバイザーを務めた後、いったんカートゥーン・サルーンを離れたが、友人でもあるトム・ムーアに乞われ、2014年スタジオに戻り、『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』(14)の特殊効果スーパーバイザーとなった。さらに『ブレッドウィナー』(17)と「預言者」(14)に参加した後、TVシリーズ「ウーナとババの島」の制作を担当。2019年から本作の監部をスタートし、パンデミックを経て2023年に完成させた。
助監督
アニメーション監。TVシリーズ「ウーナとババの島」や、アカデミー賞にノミネートされた『プレッドウィナー』で、主人公パヴァーナが語る物語シーンのアニメーション監督を務めた。短編デビュー作「A CATCALLED JAM」(20)を監督した後、本作では助監督を務めた。チェコ、ドイツ、マレーシア、カンボジア、イギリスなど世界中のスタジオが制作する作品に携わる。TVシリーズ「猫のピート」(17~22)、『ブレンダンとケルズの秘密』、「預言者」に参加し、本作では、イザベルの回想シーンのアニメーション監督も務めた。

アイルランドの西の海にある小さなトンガリ島に暮らす海鳥パフィン(ニシツノメドリ)の女の子ウーナと弟のババ、そして様々な動物たちが繰り広げる愛らしい冒険と、友情の物語。ある日、大きな嵐によって故郷の島に住めなくなった動物たちがトンガリ島にやってくる。慣れない環境に戸惑うエトピリカの女の子、イザベルが心ならずも巻き起こしたある事件を通じて、新たな友情が育まれていく。
監督:ジェレミー・パーセル
声の出演:上野樹里、新田恵海、田所あずさ、チョー
配給:チャイルド・フィルム
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2025年5月30日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町他 全国ロードショー
公式サイト Child-film.com/puffin