May 28, 2025 interview

ジェレミー・パーセル監督 & ロレイン・ローダン助監督が語る 誰もが共感できる普遍的なメッセージを届けたい『パフィンの小さな島』

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誰もが共感できる普遍的なメッセージを

池ノ辺 この作品では、今の世界の環境破壊の状況など、大きなテーマもあるとは思うのですが、私がとても惹かれたのは、エトピリカの女の子、イザベルが、周りに認めてほしくて嘘をついてしまうというエピソードでした。

ローダン 時に人は、間違った方向に進んでしまいますよね。でも後悔して戻るのに遅すぎるということはないと思うんです。子どもたちは、人にどう思われるかを気にして、あるいは叱られるのが怖くて、失敗したことが言い出せずに、かえって事態を悪くしてしまうということもある。でもそれは、子どもたちが安心できる環境にいないということでもあると思うのです。安心できる、安全な場にいたら、失敗したことを打ち明けられるかもしれない、正直に話をして助けを求めることができるかもしれない、そしてそこから許されることもあるんだと、それは私たちが伝えたいメッセージです。

池ノ辺 自分も小さい頃はそうだったな、うまくやろうとして嘘をついたこともあったなと、イザベラの気持ちにすごく共感しました。

ローダン 嘘に嘘を重ねてと深みにハマってしまうこともありますけど、純粋な思いから来たものであれば反省して許されるのではないでしょうか。

池ノ辺 小さな子どもだけでなく大人が観ても考えさせられる映画だと思いました。

パーセル この作品にとりかかっているときに、シリアの難民問題があったり、さらにはウクライナ戦争が始まったり、ということが起きて、そういうこともこの映画に投影してはどうかというアイデアも出されました。スタッフたちとはよくそういう話をしていたのです。ただ、私がそこで繰り返し話したのは、普遍的なメッセージであることが大事だということです。6歳の子どもが何らかの理由があって新しい学校に編入する。そこにはもといたところの友達も先生もいない。たとえば親が働いていて忙しかったりすると、何か困ったことが起こっても、相談することもできない。そういう子どもの話を描きたかったんです。子どもに限らず、新しい環境に身を投じることは、皆さんにもあることだと思うのです。

池ノ辺 そこからどう生きていくかということですね。