映画が「生業」となるために
池ノ辺 伊藤英明さんの演技も面白かったですね。
豊島 伊藤さんの役についての解釈は、僕が当初思っていたのはもう少し単純だったんです。ここでは真相は言えないんですが(笑)。「娘のために***をする」役で、伊藤さんは僕が考えていた演出に対して、こうしたらどうかという提案をたくさん持っていて、それがよかったですね。台本を作って演出してというのは僕らですが、実際には俳優部の皆さんがそこにどれだけディテールを与えてくれるかが勝負になりますから、そういう意味で伊藤さんの存在にだいぶ助けられました。

池ノ辺 それぞれの俳優さんたちが、「#真相をお話しします」というそれぞれの舞台で存分に演じて、なおかつ、それぞれの話が複雑に絡み合っていて、この後どうなるんだろうとドキドキして、本当に堪能させていただきました。
豊島 ありがとうございます。確かになかなかない構成ですよね。
池ノ辺 今回、より多くのお客さんに届けられる規模の作品になったわけですが、そのあたり、監督としてはいかがですか。
豊島 だいたい映画監督には年代でぶつかる壁があって、まず30代で活躍し始めて、40歳の壁があってそこでちょっと淘汰されて、次に50歳の壁もある。僕は何とかサバイバルできたんですけど、ただこのままだと自分はふるいにかけられて、60歳の壁で淘汰されてしまいそうな立場だと思っていたんです。この先60歳になっても映画を撮り続けるために何が必要かと考えた時に、ヒットメーカーという肩書き、クレジットが欲しい。この作品がそこにつながればいいな、そうなるといいなと思っています。

池ノ辺 そんな監督にとって、映画ってなんですか。
豊島 生業(なりわい)。生業になったら嬉しいですね。
池ノ辺 大丈夫ですよ。これからも、沢山の映画を撮り続けてください。
インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵
撮影 / 岡本英理
監督
東京大学在学中のぴあフィルムフェスティバル94入選を機に映画監督を目指す。卒業後、ロサンゼルスに留学。AFI監督コースを卒業。帰国後、篠原哲雄監督などの脚本家を経て2003年に『怪談新耳袋』(BS-TBS)で監督デビュー。以降映画からテレビドラマ、ホラーから恋愛作品まであらゆるジャンルを縦横無尽に手掛ける。映画は『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』(2010)、『ソフトボーイ』(2010)、『花宵道中』(2014)、『ヒーローマニア-生活-』(2016)、『森山中教習所』(2016)など。テレビドラマは「怪奇大家族」(2004)、「マジすか学園」(2010)シリーズ、「特捜9」(2019)、映画は『三島由紀夫vs東大全共闘 ~50年目の真実~』(2020)、「妖怪シェアハウス」(2020)シリーズ、「書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~」(2021)、「イタイケに恋して」(2021)等がある。

あるビルの警備室で、パソコンの画面をのぞき込む2人の男たち。彼らは、あるチャンネルの生配信を今か今かと待っていた。生配信暴露チャンネル「#真相をお話しします」。そこで明かされるのは、あらゆるゴシップの真相。有名人の裏の顔、世間を騒がせたあの事件の報道されていない真実。スピ-カーに選ばれし者はとっておきの真相の暴露と引き換えに観衆からの投げ銭を獲得する、一世一代の大勝負が繰り広げられる今一番ホットな場所。驚愕の暴露の数々に沸く観衆と、飛び交う高額の投げ銭。チャンネルが史上最大の盛り上がりを見せるなか、ついに警備室の男たちにスポットライトが当たり‥‥。
監督:豊島圭介
原作:結城真一郎「#真相をお話しします」(新潮文庫刊)
出演:大森元貴、菊池風磨、中条あやみ、岡山天音、福本莉子、伊藤健太郎、栁俊太郎、綱啓永、田中美久、齊藤京子、原嘉孝、桜井ユキ、山中崇、秋元才加、大水洋介、伊藤英明
配給:東宝
©2025 映画「#真相をお話しします」製作委員会
公開中
公式サイト shinso-movie