Feb 14, 2025 interview

村尾嘉昭 監督が語る ハリウッド映画も意識したカジノが舞台のエンターテインメント 劇場版『トリリオンゲーム』

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期待を裏切らないメインキャラクターたちの魅力

池ノ辺 主人公の目黒さんや佐野さん、今回の作品ではいかがでしたか。

村尾 目黒さんに関しては、ドラマの時より少し大人っぽいハルにしようと思いました。ドラマから2年後の設定で、さらにその2年間に何をしていたかもミステリアスで、色気も増した新しいハルが見せられたかなと思います。一方、佐野さんのガクは、変わらない。ドラマの時のままのガクをお願いしました。変わらないことが大事だったんです。お金を持っても社長になっても人の良さは変わらない、恋愛下手でハルに振り回される、そんなガクをしっかり演じてくれたので感謝してます。でも、実際の佐野さんはどちらかというと、ハルに近いんですよ。陽キャというか人たらし、明るくてみんなに好かれていて、プライベートでも役の上でも、マルチな方ですね。

池ノ辺 佐野さんは、ドラマの時と同じ雰囲気でしたけど、目黒さんは確かにドラマより大人っぽい感じはしました。

村尾 ドラマの時よりも余裕があったからかもしれませんね。というのも、ドラマは本当に時間的に余裕がなくて、めちゃくちゃ大変だったんです。映画も決してゆとりがあったわけではなくて、それなりに大変なスケジュールではあったんですが、ドラマに比べればなんてことないと言っていました。一緒に乗り越えた強さですよね。だから座長としての背中も一回り大きくなっていましたし、それが劇中のハルにも表れていたという気はします。

池ノ辺 顔つきもちょっと違ってましたね。

村尾 そうですね。見ている先が変わったというか、先の先まで見据えているような佇まいに変わったかなと思います。映画をやるというのも含めた座長としての覚悟で逞しくなられたんじゃないかと思います。

池ノ辺 今田美桜さんなどドラマから出演されている他のキャストの方たちはいかがでしたか。

村尾 今田美桜さんは、このキャストの中で唯一、これより前のドラマで1クールご一緒したことがあるんです。「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」(2018)というドラマで、その頃僕は助監督だったんです。その彼女と今こうして一緒に仕事をしているというのは本当に感慨深いものがあります。しかも今田さんは、いろんな経験を積まれてすごく成長されて、頼れる人になっているし、さらに美しくなってますしね。

池ノ辺 今田さんのキリカはいつも素敵なファッションで登場しますよね。

村尾 キリカは、スタイリストの金 (順華) さんとヘアメイクの松浦 (顕子) さんが、今田さんと一緒にドラマの時から作り上げたものです。これはなかなか他所では見られないと思います。これに関しては僕は何も言ってなくて、彼女たちが作り上げた素晴らしいキリカ像です。ドラマでも毎回楽しみにしてくださった方たちがおられたようですが、映画でももちろん楽しんでもらえると思います。

池ノ辺 凜々役の福本莉子さんもドラマからですね。

村尾 福本莉子さんの凜々は、ドラマでは堅物、堅物と言われていて、それをとにかく守ってくれという話をしていたんですけど、今回は、恋愛も絡んでくるので、ナチュラルな凜々、自然な可愛らしさのある凜々をお願いしました。特に僕は凜々とガクの絡みが大好きなんです。全体として突拍子もない話が続く中で、2人が「普通の世界」を持ってきてくれる。それがこの作品を落ち着かせてくれるというか、リアルな世界に繋ぎ止めてくれている感じがあります。

池ノ辺 病院での2人のシーンは良かったですね。あれはどういう演出をされたんですか。

村尾 もちろん演出はしますけど、ああいうシーンは流れの中で自然に生まれたものを切り取ればいいシーンになるので、演出というより2人の力が大きいですね。

池ノ辺 撮影は、大変でしたか。

村尾 今回は、岡山、三重、あるいは島などいろんなところに行って移動して宿泊して、という撮影があって、大変は大変でしたけど楽しかったですね。

池ノ辺 みなさんで美味しいものを食べたりされたんでしょうね。

村尾 島の食堂でロケがあったんですが、ロケが終わった後で刺身の盛り合わせをポンと出してくれたんです。みんなで分け合って食べて、あれは美味しかったですね (笑) 。

池ノ辺 ドラマよりさらに、仲間たちみんなで作り上げたという実感があるんじゃないですか。

村尾 それはその通りですね。もちろんドラマと同じチームということもありますが、今回は移動や宿泊があって、大変でしたが現場の一体感は増していたように思います。