Feb 14, 2025 interview

村尾嘉昭 監督が語る ハリウッド映画も意識したカジノが舞台のエンターテインメント 劇場版『トリリオンゲーム』

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天性の人たらしで “世界を覆すハッタリ男”【ハル】と、気弱で心優しい “凄腕エンジニア” の【ガク】という正反対の2人がタッグを組んでゼロから起業した「トリリオンゲーム社」は、今や日本トップクラスの大企業となった。そんな彼らが次に挑むのは、日本初のカジノリゾート開発。ロマンと欲望が入り混じる魅惑のカジノリゾートを舞台に、これまで以上の強敵に立ち向かい、いまだかつてない危険と隣り合わせの世界に飛び込む、ハルとガクの運命は‥‥!?

2023年7月期に放送されたTBS金曜ドラマ「トリリオンゲーム」。まだ何者でもないハルとガクが、資金ゼロ・事業計画ゼロの状態から起業し、予想の斜め上を行く方法で成功を重ねていく姿が、毎回テンポ良く爽快感たっぷりに描かれた。本作、劇場版『トリリオンゲーム』は、原作・稲垣理一郎の監修のもと、完全オリジナルストーリーで描かれ、ドラマと同じく村尾嘉昭が監督を務める。主人公のハル役に目黒蓮、ガク役の佐野勇斗のほか、ドラマに引き続いての今田美桜、福本莉子、吉川晃司ら、さらに劇場版ならではの超豪華キャストが脇を固める。

予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』、今回は、劇場版『トリリオンゲーム』の村尾嘉昭監督に、本作品や映画への思いなどを伺いました。

ハリウッド映画も意識、カジノが舞台のエンターテインメント

池ノ辺 映画化が決まった時はどうでしたか。

村尾 それはもう嬉しかったです。まずこのチームでまた作品が撮れるというのも嬉しかったですし、この2人の活躍が見られるのは最高だなと。ただ、連載中の原作のストーリーより進んでしまったので、原作者の方に監修をお願いしつつも、オリジナルで2人の活躍をどう作っていくかというのは難しく、ハードルが高かったです。それでもハルの突拍子もない発想を考えるのは、すごく難しいながらも楽しくて、いい経験になりました。オリジナルストーリーを考えるということも含めて、映画化したというのはすごく有意義な時間だったと思います。

池ノ辺 ドラマと映画では、作り方をかなり変えたんでしょうか。

村尾 基本的には一緒です。スタッフもみんなドラマと一緒でしたから、もうすでにチームとして出来上がっているので全く違うという感覚はなかったです。ただ、そうはいっても映画なので、スケール感は大きくしたいし、エンタメ度も上げたい。そういうところは意識しました。

池ノ辺 エンターテインメント作品として、すごく面白かったです。ストーリーも演出も、そして音楽も良かったし、そういう意味では80年代、90年代のハリウッド映画の面白さみたいなものを感じたんです。

村尾 それは嬉しいです。ありがとうございます。

池ノ辺 そのあたりは狙っていたんですか。

村尾 そうですね、ポスターもそうですけど、ちょっと洋画の雰囲気のあるエンタメ感というのは思っていました。特にストーリーの軸に「日本初のカジノ」というのがありますから。カジノというと思い浮かぶ名作がたくさんあるので、その辺りを意識したエンターテインメントという方向に進もうとは考えていました。

池ノ辺 何か参考にした洋画はあったんですか。

村尾 たくさんあります。特に「これ」というのではないんですが、カジノが舞台の作品をたくさん観ました。

池ノ辺 いろいろありますもんね。たとえば『スティング』(1973) とか。

村尾 『スティング』っぽいところもあるかな‥‥。あとは誰も知らないような映画もずいぶん観ましたね。Netflixのドラマ「忍びの家 House of Ninjas」(2024) の監督のデイヴ (・ボイル) にも聞いて、いろいろ勧めてもらいました。それは僕も全く知らなかった映画だったんですけど、すごく面白かった。撮り方なども参考にしました。

池ノ辺 カジノのシーンでは、ディーラーのラモーナ役のシシド (・カフカ) さんの手捌きも、プロ並みでしたね。

村尾 これに関しては、シシドさんがめちゃくちゃ練習してくれたんです。手捌きの吹替の方を用意していたんですけど、シシドさんがあまりに上手くできてしまうので、登場する余地がなくお帰りいただくという感じでした。

池ノ辺 本当にかっこよかったです。容姿ももちろんですが凛とした佇まいや手捌き、視線の流し方など、魅せてくれました。

村尾 妖艶でミステリアスで、最高のキャスティングでしたね。