社会現象としての「地面師たち」
池ノ辺 「地面師たち」は、とても面白い作品ではあるんですが、こんなに大ヒットすると思っていらっしゃいました?
大根 僕は、国内ではある程度は行くだろうなと思っていました。それはNetflixユーザーとして、こういうのがあったら自分は絶対見ると思ったし、これまでなかったタイプだし。だからある程度はヒットするとは思っていましたけど、さすがにここまでとは思いませんでした。
坂本 日本で最も視聴されたコンテンツのひとつですね。大根監督とは編集段階で、何度かお会いしているときに、「めちゃくちゃいいですね、これは確実にヒットすると思いますよ」と、そういう会話をしたのは覚えています。大根監督は求めているものをきっちりとそこにぶつけてくる、そこへの揺るぎない信頼として、確実にヒットするという想いはありました。
池ノ辺 予告編が流れている最中から各方面で反応がリアルタイムでたくさん出てくるというそのスピード感に驚きました。例えばYouTubeで、ほんの短いものでも予告が出るとすぐに反応がある。しかも実際に本編の配信が始まると、映画業界の中でもいろんなところで「“地面師”見た?」という話が出るんですよ。
坂本 人気の作品って、飲み屋さんとかレストランで、隣の席で話題になっている。それがヒットしているという一番の肌感覚なんです。「地面師たち」はそれがとにかく多かったですね。行くところ行くところで、かなり話題になっていて、それはもう間違いなく社会現象と言っていい。
大根 ご飯を食べに行ってもお酒を飲みに行っても、大袈裟じゃなく本当に周りで「地面師たち」の話をしている。それだけじゃなく、五反田のサウナに行けば常連のおじいさんたちが話しているし、リリー(・フランキー)さんにお祝いで連れていってもらった銀座のお店でも、みんな見ているという。これは本当に、老若男女いろんな層の人が見ているなと。
坂本 あちらこちらで大根監督だと気づかれたんじゃないですか。
大根 そうですね。リリーさんと行った店でもキャストのお姉さんたちから「あ、地面師の!」って言われました(笑)。しかも、結構皆さん本編だけじゃなくて舞台挨拶みたいな関連動画も見ているんですよ。だから結構、「地面師の監督だ!」と、チヤホヤされましたね(笑)。
坂本 そういう反応が本当に嬉しいです。
池ノ辺 私もタクシーの運転手さんから「地面師、見ましたか」と言われましたよ。すごい現象ですよね。