アミもまた旅の途中
池ノ辺 清原さんは中国語を少し話されていましたけど、勉強されたんですか。
清原 劇中で中国語を喋るシーンがあったので、現場にいた通訳の方達に教えてもらいました。グァンハンさんに話しかけたいんだけど、これはどう言ったらいいですかと会話しながら少しずつ覚えていきました。とはいえ、台湾のスタッフやキャストの皆さんは日本語をすごく勉強されていたので、コミュニケーションの問題はありませんでした。
池ノ辺 私はこの映画を観て、旅に出て自分の人生を振り返る、そしてそれを受け入れる、そんなことがラブストーリー以上のテーマに思えたんです。自分のそれまでの人生を肯定するような、自分への応援歌だと。清原さんにとって、例えば最初に脚本を読んで、さあ始めよう、という時から演じ終えた後、初号を観た時、何か自分自身の感覚が変わったなということはありますか。
清原 撮影が始まった時はすごく意気込んで、自分にできることをやろうと思って撮影に臨みました。そしてこの間、試写でこの作品を観た時に、アミを演じた時の感情が感覚として残っていて、まだ抜け出せていない気がして‥‥俯瞰で自分自身を見ることができていないのかもしれないと最近になって気づいたんです。ですから、自分にとって何だったのか、どうだったのか、今はまだ考えているところです。
池ノ辺 確かに監督もまだ旅の途中とおっしゃっていましたね。
藤井 まだ走っている最中ですからね。
池ノ辺 台湾での公開は大ヒットのスタートだとか。
藤井 おかげさまで。グァンハンがたくさん舞台挨拶に行ってたくさん宣伝してくれたようで。だから日本では我々ががんばらないと。
清原 そうですね。
池ノ辺 台湾の試写会の手応えはどうだったんですか。
清原 本当にたくさんの方々が、この作品を待っていて下さっていたんだというのが伝わってくる熱量を浴びました。日本の方たちにももっともっとこの作品が広まるようにがんばらないと、って気が引き締まる思いでした。
池ノ辺 実際に台湾の観客の皆さんからの反応は届いているんですか。
藤井 自動翻訳機能を使わないといけないんですが、台湾の皆さんの文章で嬉しい反応をたくさんいただいています。それに、台湾のみんなはすごく映画が好きなんだと実感するようなメッセージも多いですね。
池ノ辺 日本人じゃなくても、この映画は通じるところがあると思います。
藤井 僕もそう願ってます。自分の作品が海を越えてたくさんの地域で観てもらえるというのは、決して当たり前のことじゃないと、それは実感しています。台湾で、あるいは他の土地で青春を送った人々が自分たちの撮った青春をどう重ねてくれるんだろうか、ちゃんと握手してくれるといいなと、今はドキドキワクワクしながら見守っているところです。