May 11, 2024 interview

清原果耶 × 藤井道人 監督が語る アミもまた旅の途中『青春18×2 君へと続く道』

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始まりは18年前の台湾。カラオケ店でバイトする高校生・ジミーは、日本から来たバックパッカー・アミと出会う。天真爛漫な彼女と過ごすうち、恋心を抱いていくジミー。しかし、突然アミが帰国することに。意気消沈するジミーに、アミはある約束を提案する‥‥。時が経ち、現在。人生につまずき故郷に戻ってきたジミーは、かつてアミから届いた絵ハガキを再び手に取る。初恋の記憶がよみがえり、あの日の約束を果たそうと彼女が生まれ育った日本への旅を決意。東京から鎌倉・長野・新潟・そしてアミの故郷・福島へと向かうーー。

アジア圏で今最も注目を集める台湾のスター俳優 シュー・グァンハンと、日本で若手屈指の実力を有する清原果耶。さらに日台の豪華キャストが揃い、日本と台湾の壮大で美しい風景と、18年前と現在という時代を鮮やかに映し出す。

予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』、今回は、『青春18×2 君へと続く道』の藤井道人監督と主演の一人清原果耶に、本作品や映画への思いなどを伺いました。

俳優「清原果耶」の成長を見守って

池ノ辺 今回の作品、台湾スタッフの人たちとの撮影はいかがでしたか。

清原 台湾だからといってすごく違うというわけではなかったです。ただこの作品を大事に思う人たちが集って皆で一致団結して撮影に取り組む、そんな感じでした。

池ノ辺 監督が、台湾のロケ弁がおいしかったといっていましたが。

清原 おいしかったです(笑)。台湾は食文化が豊かというかご飯に対しての熱がすごくて、食事がスタッフやキャストのモチベーションにつながるというところもすごく理解してくださっている感じでした。だから毎日おいしい温かい食事がいただけていました。

池ノ辺 映画の中の食事のシーンも、おいしそうでしたものね。ところで、清原さんはこの世界でお仕事を始めてどのくらいですか。

清原 今年の10月で10年になります。

池ノ辺 藤井監督とは何度か一緒に仕事をされていると聞きました。今回はどうでしたか?

清原 今回で3度目なんですけど、私は楽しみ半分、緊張半分という感じでした。前にご一緒させていただいてから数年空いているので、成長してるなと思われたい気持ちもあって。だからといって何ができるわけでもないので、今の自分にできることをがんばっていこうという気持ちでした。

池ノ辺 監督はいかがでしたか?

藤井 まあ、親戚のおじさんのように清原さんをずっと見守らせてもらってきたんですが、今回特に感じたのは、スタッフ全員に対する気配りというか‥‥もちろんこれまでもできていたんですけど、今回は座長的なところでその役割を果たしている感じでしたね。そこからグァンハンのこともサポートしてスタッフの中心に彼女がいることで現場がうまく回っている。僕らはすごく助かりました。

池ノ辺 まるでこの映画みたいですね。人気者で中心にいる。

清原 いえいえ、そんなことはないと思います(笑)。でも、私はほとんど台湾での撮影だったんですが、スタッフの皆さんがすごくあたたかく「アミちゃん、がんばれー」という視線をいつも向けてくださっていたので、ゆったりした穏やかな気持ちで「がんばるぞー」と撮影に臨むことができました。

池ノ辺 グァンハンさんはどうだったんですか。

清原 私にとっては、とても謙虚で健気で、まっすぐで誠実な方、という印象です。それはグァンハンさんのお人柄がそうだと思うんですが、ジミーという役柄も、とても繊細な、でもパワーのいる役だったと思うので、私は毎日、ジミーというかグァンハンさんに影響を受けながら撮影していたという感じです。

池ノ辺 撮影中、グァンハンさんは日本語に苦労したと聞きましたが、清原さんは何か大変だったことはありましたか。

清原 どうだろう、何かあったかな‥‥。

藤井 ひとつ、日本の撮影の方が最初になったという申し訳なさはありました。

清原 確かに。クランクインが、物語の最後の方のシーンで、まだ台湾にも行っていないジミーにも会えていないという状況で、何をどう想像すればいいのか、ということはありました。現場でも皆さん申し訳なさそうな顔で「がんばってください」と‥‥。

藤井 「がんばって」もいえない雰囲気だったよね(笑)。

池ノ辺 全然違和感なかったですよ。

清原 頑張りました!

池ノ辺 さすがです。

清原 監督もすごく優しくて、重荷になるだろうということを理解してくださって、概要というかさわりだけふわっと説明して、じゃああとはお願いしまーすと(笑)。

藤井 忍法抽象演出! ふわふわっと言って、あとは果耶ちゃんに任せようと逃げていくみたいな(笑)。

清原 私もその方がありがたかったんです。

藤井 実際、オールアップが旅が始まるシーンで、ほぼ全部が逆という状況でした。もう「すまん!」と。あとはもう見守るだけでしたね。