Aug 15, 2023 interview

プロデューサー・松橋真三が語る “紫夏の物語”であり“魂の物語”である『キングダム 運命の炎』

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伝えたいことを、「映画」という形で世界に残したい

池ノ辺 「キングダム」は原作が69巻まで出ています。映画はどこまでやりますか。

松橋 やれるところまでやりたいですね。

池ノ辺 このシリーズは、ハラハラドキドキしながら、最後にわーっと盛り上がって、でもそこで終わらなくて、えーっ!? ってまたドキドキして続く。もう、まさにイベント型というか映画の一つの醍醐味を存分に味わわせてくれます。

松橋さんが選ぶ作品は、漫画や小説からの大ヒットというイメージがありますが、そのセンサーはどこから来るんですか。

松橋 もちろん、「面白い、当たる」という感性は作品ごとにあるんですが、その原作が持っているメッセージを自分が世の中に伝えたいと思えるかどうかということがあります。せっかく映画という形で作品を世に出すなら、少しでも良いメッセージ、良い物語を発信していきたい。

そういう伝えたい事というのは自分の中にもあるんです。自分の中と作品のそれがシンクロしたときに、映画にしたいと心から思います。そして作品の主人公の気持ち、言葉、メッセージが世の中に広まって、長くその物語が大切にされてほしい。そういうものを作っているつもりです。

池ノ辺 素晴らしい。本当にそうですね。作品の中に、大事にしたい、心に残る言葉がいっぱいあります。そういうものを特に若い人たちが観て、人生の糧にしてくれたら嬉しいですよね。

さて、これはみなさんにお聞きしているのですが、松橋さんにとって映画とはなんですか。

松橋 今言うなら、人生そのものです。先ほど申し上げたように、私が生きた証として世の中に伝えておきたいメッセージを、せんぶ映画の中に込めていますので。

池ノ辺 そうすると、これからもまだまだたくさん作れそうですね。

松橋 そうですね。伝えたいことはまだ沢山ありますから。

インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵

プロフィール
松橋真三(まつはし しんぞう)

映画プロデューサー / クレデウス 代表取締役

1969年生まれ。2000年『バトル・ロワイアル』より映画プロデューサーとして活動。代表作は、『キングダム』シリーズ(2019、2022、2023)、『銀魂』シリーズ(2018、2017)、『新解釈・三國志』(2020)など。『キングダム』と『銀魂』では、それぞれ優れたプロデューサーに贈られる藤本賞・特別賞を受賞している(2019、2017)。2023年秋には『沈黙の艦隊』が公開予定。

作品情報
映画『キングダム 運命の炎』

500年にわたり、7つの国が争い続ける中国春秋戦国時代。戦災孤児として育った信は、亡き親友と瓜二つの秦の国王・嬴政と出会う。運命に導かれるように若き王と共に中華統一を目指すことになった信は、「天下の大将軍になる」という夢に向けて突き進んでいた。そんな彼らを脅威が襲う。秦国に積年の恨みを抱く隣国・趙の大軍勢が、突如、秦への侵攻を開始。残忍な趙軍に対抗すべく、嬴政は、長らく戦から離れていた伝説の大将軍・王騎を総大将に任命する。決戦の地は馬陽。これは奇しくも王騎にとって因縁の地だった。出撃を前に、王騎から王としての覚悟を問われた嬴政が明かしたのは、かつて趙の人質として深い闇の中にいた自分に、光をもたらしてくれた恩人・紫夏との記憶。その壮絶な過去を知り、信は想いを新たに戦地に向かう。100人の兵士を率いる隊長になった信に、王騎は『飛信隊』という名を授け、彼らに2万の軍勢を率いる敵将を討てという無謀な特殊任務を言い渡す。失敗は許されない。秦国滅亡の危機を救うため、飛信隊が立ち上がる。

監督:佐藤信介

原作:原泰久「キングダム」(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)

出演:山﨑賢人、吉沢亮、橋本環奈、清野菜名、満島真之介、岡山天音、三浦貴大、杏、山田裕貴、髙嶋政宏、要潤 、加藤雅也、高橋光臣、平山祐介、片岡愛之助、 山本耕史、長澤まさみ、玉木 宏、佐藤浩市、大沢たかお

配給:東宝 、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

©原泰久/集英社 ©2023映画「キングダム」製作委員会

公開中

公式サイト kingdom-the-movie.jp

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『ザ・メニュー』『哀れなるものたち』ほか1100本以上。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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