Jul 16, 2021 interview

細田守監督 最新作 映画『竜とそばかすの姫』プロデューサー 齋藤優一郎が語る制作・宣伝・クリエイティブのこと

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細田守監督の演出術

池ノ辺 今回、弊社のディレクターが予告編と共にオープニングタイトルも作らせていただいたんですが、細田監督とどんなやり取りをして作ったのか訊いたら、監督は「タイトルに合うものを作って」って、それだけなんですって。それで何タイプか作ったら、「こことここが良いね」と言われて、ということは、全部ダメってことだと思って(笑)、また何タイプか出したら、「これは良いね」って。じゃあもう少しこういうことかなって思いながら作っていったらしいんです。

齋藤 監督の常套手段ですね、それは(笑)。まあ監督ってみんなそうかもしれないです。やっぱり自分の中だけのイメージで終わりたくないんですよね。みなさん勘違いするかもしれないけど、監督ってすべて分かっているかというと、そうじゃないんですよ。人に教えられたりとか、作品に教えられたりとか、観客の皆さんに教えてもらうみたいなところもあったりすると思うんですよね。映画を完成させるためには、映画が必要としている正解に辿り着かないといけない。たぶん、予告編のディレクターと一緒に悩みながら、映画の正解を探して行ったんだと思うんです。

池ノ辺 その時に予告編のディレクターが思ったことは、監督は何も言わないで、自分を監督と同じ思いに近づけて引き出してくれているって思ったらしいんですよね。最後に出来上がったものは、監督の思いに近づけられたんだろうかって、今も思っているみたいですよ。

齋藤 大変だと思いますよ。全部自分の中の引き出しを開けられて、さあ全部出せって言われるわけですからね。でも一緒に正解に辿り着くまで頑張って切磋琢磨した結果、あのオープニングタイトルのデザインが出来たわけですから、あれが2人の正解であり、映画の正解になったと思います。