映画と共に駆け抜けた25年と原点
―― この仕事を始めて25年になるそうですが、あっという間じゃなかったですか?
そうですね。今も年間400本とか観るんですけど、その代わり映画しか観てないんですよ。私に朝ドラの話とか聞かないでください(笑)。インタビューするときに、あのドラマに出てた人でって聞くと、慌ててネットで調べますね。
―― いっぱい映画を観ていたら、面白くない映画だってあるじゃない? そういう映画も面白そうに言わなきゃいけないわけでしょう?
それがね、私は面白いように言わなきゃと思わないんですよ。正直に言うと、つまらないと思った映画は、Twitterでも記事でも書かないと決めているんです。ただ、司会で立ったときは、今度は逆に面白いぐらいに質問できちゃうんです。
―― 逆に、訊きたいことが出てくるのね(笑)。
監督も「よくぞ訊いてくれた」って言ってくれたりして(笑)。話を聞いているうちに、私も面白かったのかもしれないって思い始めるんですよね。だから意外と疑問に思ったところがある映画のほうが、いっぱい訊きたいことが出てくるんですよ(笑)。
―― 最近は配信の映画がありますけど、そういうのは観るんですか?
観ます!Netflixを観てると、やっぱり面白いんですよ。『マリッジ・ストーリー』なんて最高ですよね。でも『アイリッシュマン』はね、Netflixじゃなくて映画館のアップリンクで観ましたよ。あの長さは家だと耐えられない(笑)。
―― 最後に、人生の中で一番の映画を教えてもらえますか?
やっぱり、人生変えられちゃったと思ったのは『ラ・ブーム』なのかな? 日本公開が1982年だから、私が小学5年か6年生のときなんです。今日は、そのレコードを持ってきました(笑)。
―― 映画を観て、レコードまで買っちゃったのね。
映画を観る前に予告編を観て惚れちゃったんです。主題歌の『愛のファンタジー』が流れる予告で初めて恋愛映画にキューンときたんですよ。それで小学生ながら限定版をゲットしにわざわざ渋谷まで行ったんですよ。
―― それまでは恋愛映画はまだ分からない頃よね。
私はそれまでは『スター・ウォーズ』にハマりまくっていて(笑)。『セーラー服と機関銃』を観て薬師丸ひろ子オマージュで、ベリーショートカットにしたりしていたときですから。
―― 大人になりかけた頃に、こんな恋愛映画があるのかと思ったわけね。
中1でピアスを開けたのは、『ラ・ブーム』のソフィー・マルソーになりたいと思ったからですね(笑)。ここからオタク化して、追っかけも始めるんです。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『グーニーズ』のキャストが来日すると、サインをもらいに行くような中学時代だったんです。その火をつけてくれたのが『ラ・ブーム』で、それが今の私の原点ですね。
インタビュー/池ノ辺直子
構成・文/吉田伊知郎
撮影/江藤海彦
映画パーソナリティ
年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。ハリウッドスターから日本の演技派俳優まで、記者会見や舞台挨拶MCも担当。全国のTSUTAYA店内で流れるwave−C3「シネマmag」DJであり、自身が企画の映画番組、俳優や監督を招いての対談番組を多数持つ。また映画界、スターに詳しいこと、映画を心理的に定評があり、NTV「ZIP!」映画紹介枠、CX「めざまし土曜日」映画紹介枠 に解説で呼ばれることも多々。TOKYO-FM、JFN、TBSラジオの映画コーナー、映画番組特番DJ。雑誌「ブルータス」「Pen」「anan」「AERA」にて映画寄稿日刊スポーツ映画大賞審査員、日本映画プロフェッショナル大賞審査員。心理カウンセリングも学んだことから「ぴあ」などで恋愛心理分析や映画心理テストも作成。著書「2分で距離を知事メル魔法の話術」(ワニブックス)。
伊藤さとり公式HP:https://itosatori.net
2020年3月6日(金)公開
監督:若松節朗
出演:佐藤浩市、渡辺謙 、吉岡秀隆、安田成美
原作:門田隆将『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)
配給:松竹、KADOKAWA
Ⓒ 2020『Fukushima 50』製作委員会
公式 HP: https://www.fukushima50.jp/