Oct 21, 2017

インタビュー

第2回:東京国際映画祭は、映画業界だけの映画祭じゃないんです。

ikenobe_banner

池ノ辺直子の「新・映画は愛よ!!」

Season18  vol.02
第30回 東京国際映画祭
フェスティバル・ディレクター
久松猛朗 氏

 

映画が大好きで、映画の仕事に関われてなんて幸せもんだと思っている予告編制作会社代表の池ノ辺直子が、同じく映画大好きな業界の人たちと語り合う「新・映画は愛よ!!」

今回で開催30回を迎える、日本で唯一の国際映画製作者連盟公認の国際映画祭である東京国際映画祭。記念すべき開催回にフェスティバル・ディレクターとして就任された久松猛朗さんに、今回も引き続き第30回東京国際映画祭のお話を伺います。

→前回までのコラムはこちら

 

 

池ノ辺直子
(以下 池ノ辺)

30回を迎える東京国際映画祭(以下、TIFF)、今年はコンペティション部門の審査員長がトミー・リー・ジョーンズさんですけど、どういう経緯で決まったんですか? 

これもスタッフによるブレストで?

 

久松猛朗
(以下、久松)

審査委員に関しては、打診した方、皆さん、興味も持っていただけるのだけれど、スケジュールが合わないことが多いんです。

活躍されている現役の映画監督だと、映画祭会期中、前後合わせると12日間ほど東京に滞在し続けることが難しい。

 

池ノ辺

日本にいなければいけないし、映画も見なければいけないし。

当たり前だけど。。。

 

久松

みなさん、映画を見ることも、審査もそれはいいというんです。

でも、アクティブに動き回っている映画監督は、次の作品のロケハンに行かなければいけないとかいろいろあって、「行きたいのは山々だけれど」となってしまう。

そこで、撮影が終わっている映画人の情報を集めていたら、トミー・リー・ジョーンズさんの名前が挙がってきた。

審査委員長ってばらばらと何人もの人にオファーできるものじゃない。

一人当って、ダメだったら次という手続きを踏まなくてはいけない役職なので、とにかくトミーさんにお願いしようとオファーしたら、「オフィシャルなスケジュールは空いている。でも、プライベートのスケジュールはわからない」と。

確かにそこに親族の結婚式があったりするとダメなんですけど、確認していく中で、「興味があるから、自分のプライベートなスケジュールは調整する」と言ってくれて、そこから一気に動きました。

 

池ノ辺

すごい!!

他の審査員の方々も個性豊かですね。

映画監督のマルタン・プロボさん、レザ・ミル=キャリミさん、女優のビッキー・チャオさん、日本からは俳優の永瀬正敏さん。

 

久松

永瀬さんには僕から直接、頼みました。

「これまで審査員は一切受けたことないです」と言われたんだけど、でも今回は30回という節目の年であるし、去年、TIFFの「アジア三面鏡」で製作、上映したオムニバス映画の一編「行定勲監督~“鳩・Pigeon鳩~」でも永瀬さんに出ていただいていたんです。

個人的には、昔、僕が松竹にいたとき、山田洋次監督の『息子』という映画にかかわっていたとき、永瀬さんが出ていて、その縁もあり、「久松さんから直接言われたので、今まで受けていないけれど今回初めてやってみます」と引き受けてもらったんです。

 

 

池ノ辺

永瀬さんは今、役者としてノリノリですからね。

 

久松

ちょうど脂が乗っていてね。

それこそ国際映画祭で言うと、カンヌに河瀨直美監督の『あん』と『光』で参加されていて、どちらの作品でも、永瀬さんがよかったですよね。

 

池ノ辺

前の回でも話がでましたが、私が「これ、面白い」と注目したのは「Japan Now部門女優特集」。

女優の安藤サクラさん、蒼井優さん、満島ひかりさん、宮﨑あおいさんの4人を、今の日本映画のミューズとして特集するものですが、どういう経緯でこの4人になったんですか?

 

久松

これは、プロモーションチームのアイデアなんですよ。

ミューズというと、今まではどちらかというとオープニングの日だけ参加していただき、華やかにその場を飾ってくださるというポジションが多かったんだけど、それだけじゃなく、もっと出演作も絡めて、ご本人たちに映画祭に参加してもらえないかと。

 

池ノ辺

女優として?

 

久松

ええ。

Japan Now部門のプログラミングをやってもらっている早稲田大学の安藤紘平先生に相談したら、「いつもは監督特集だけれど、女優を切り口にするのは面白いんじゃないの」と言っていただき、この4人になりました。

結果的にはすごくいい人選になったと思う。

というのも、これは今回のスローガンに「アートとエンターテインメントの調和」というものをあげているじゃないですか。

安藤さん、蒼井さん、満島さん、宮﨑さんはまさにそういうタイプで、コマーシャルやテレビドラマにべったりでもなく、アート系の映画ばかりやっているだけもなく、とてもいいバランスでキャリアを積み重ねてきている。

もちろん、前提としてちゃんと映画女優であることも。

 

池ノ辺

もっと大前提として、この4人は若いのに演技もうまい。

 

久松

うまいし、出ている映画も、単に娯楽にというだけではない題材のものを選んでいる。

 

池ノ辺

映画祭用の撮りおろしの写真もすごくかっこいい、これも蜷川実花さんがカメラマンですね。

それぞれ、黒のドレス姿でというのもすごくいいイメージになりますね。

 

©2017 TIFF

 

久松

そうなんですよね。

他のポスターが色鮮やかなので、ここは逆にシックにいっている。

 

池ノ辺

すごくおしゃれ。

それぞれ2本の出演作が上映されて、所縁のある映画人とトークもされるそうですけど、ちょっと見逃していた人はこの機会に絶対、見て欲しいなと思う映画ばかりですよね。

 

久松

ええ、ここ数年の日本映画の動向もわかると思います。

 

池ノ辺

あと、私のことを少し話していいですか? 

私、TIFFの予告編を毎年作っております。

私も映画祭の歴史を知る人物の一人になりました。

 

久松

はい、存じ上げてます。

ありがとうございます。

 

池ノ辺

毎年、予告編では招待作品を紹介するんですが、今回も素材がギリギリまで集まらなくて、どうなっちゃうのかなと心配していたら、見事にいい作品が揃いました。

 

久松

はい、なかなかのもんです(笑)。

 

池ノ辺

すごくバリエーションがあって、偏っていなくて、アニメもあるし、話題作もある。

 

久松

より多様で多彩なプログラミングで「誰もが見たくなるような映画祭」になっていると思います

 

池ノ辺

オープニング作品は『鋼の錬金術師』、これはワーナー・ブラザースさんですね。

 

久松

この作品はCGがたいしたもんですよね、予算はハリウッド映画ほどかけていないけど、ここまで来たのかと思いました。

もう一つの招待作品の『空海~KU-KAI~』も予告編を見るとすごい映像で、皆さんに見ていただくのが楽しみです。

 

池ノ辺

今日、ここに来る前に特別招待作品で、ギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』を見てきたんですけど、すごく良かっ たです!

切なくて、素敵な恋物語。

 

久松

ええ。

コンペティション部門に関しては、僕の立場で個々の作品について述べるのはまずいんで言いませんけど、「アートとエンターテインメントの調和」ということをプログラマーの方たちにお願いして、すごくバランスよく、いろんなタイプの作品が集まったと思います。

そこはもう自負しているところです。

 

池ノ辺

チケットの販売はもう始まっていますね。

作品によっては一瞬で売り切れちゃう。

 

久松

ただ、二次販売や当日券もありますから、開催直前まで第30回東京国際映画祭の公式サイトでご確認いただければと思います。

チケットの状況に関してはこれまで我々の発信力が弱かったこともあったと思うので、何度も繰り返し、アナウンスしていくつもりです。

ぜひ、皆様のお越しをお待ちしてます。

 

池ノ辺

そうですね。

「TIFFは、誰でも参加できるのよ!!  映画業界の映画祭じゃないのよ!! 」と、私も言い続けます。

では、次回は久松さんが今までかかわってきた映画のお話を聞かせていただきますね。

 

 

(文:金原由佳 / 写真:岡本英理)

 


 

©2017 TIFF

 

第30回 東京国際映画祭

今年、第30回を迎える東京国際映画祭(以下 TIFF)は、日本で唯一の国際映画製作者連盟公認の国際映画祭です。

1985年に日本ではじめて大規模な映画の祭典として誕生し、日本およびアジアの映画産業、文化振興に大きな足跡を残し、アジア最大級の国際映画祭へと成長しました。創立時から映画クリエイターの新たな才能の発見と育成に取り組み、アジア映画の最大の拠点である東京に、世界中から優れた映画が集まり、国内外の映画人、映画ファンが新たな才能とその感動に出会い、交流する場を提供します。

今年のオープニング作品は『鋼の錬金術師』、オープニングスペシャル作品は『空海~KU-KAI』、クロージング作品は『不都合な真実2: 放置された地球」となります。

チケットの一般販売は1014日より開始中。

会期: 20171025日(水)~ 113日(金・祝)[10日間]
会場: 六本木ヒルズ、EXシアター六本木ほか。

公式サイト
http://2017.tiff-jp.net/ja/

 

Loading the player...

 

PROFILE

■久松猛朗(ひさまつたけお)

第30回東京国際映画祭
フェスティバル・ディレクター

1954年山口県下関市生まれ。78年松竹株式会社に入社。宣伝プロデューサー、映画興行部・番組編成担当等の勤務を経て86 にアメリカ松竹「リトル東京シネマ」の支配人となる。89 に東京へ戻り、興行部次長に就任。94年タイムワーナーエンターティメントジャパン株式会社に入社し、ワーナーブラザース映画の営業本部長となる。その後、松竹株式会社に再入社し、2001年取締役映画部門&映像企画部門を担当。03年に常務取締役に就任する。06年株式会社衛星劇場 代表取締役社長を経て、10年ワーナーエンターティメント・ジャパン株式会社に再入社。ワーナーブラザース映画 副代表となる。現在はマイウェイムービーズ合同会社 代表。

池ノ辺直子

予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表/映像ディレクター。

フリー後「池ノ辺事務所」を設立。
10周年を記念して、バカばっかりの職人集団の意味で 株式会社バカ・ザ・バッカに社名変更し、代表取締役社長に。
今年で創立31周年を迎える。

2004年マックスファクタービューティースピリット受賞。 著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 イマジカBS審議委員 ニューシネマワークショップ講師。 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」の運営もしている

これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』 『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』 『マディソン郡の橋』『トップガン」『博士と彼女のセオリー』 『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』 『ドリーム』『僕のワンダフル・ライフ』。 ほか1100本以上。

最新版は、本年度アカデミー賞ノミネート作品「スリー・ビルボード」「シェイプ・オブ・ウォーター」

プロフィール詳細を隠す表示する

この記事が気に入ったらクリック

SNSでシェア

このエントリーをはてなブックマークに追加