
池ノ辺直子の「新・映画は愛よ!!」
Season15 vol.03 東京テアトル株式会社 映像事業部編成部長 西澤彰弘 氏

©こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
映画が大好きで、映画の仕事に関われてなんて幸せもんだと思っている予告編制作会社代表の池ノ辺直子が、同じく映画大好きな業界の人たちと語り合う「新・映画は愛よ!!」
第3回目は、アニメーション映画『この世界の片隅に』がなぜ大ヒット作品となったのかを、企画段階から日本アカデミーショー受賞までの裏話も交え東京テアトル株式会社、映像事業部編成部長の西澤彰弘さんに、じっくりお伺いします。
- 池ノ辺直子 (以下 池ノ辺)
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さて、3回目となる今回、西澤さんにぜひ、伺いたいのは東京テアトルの配給で、昨年大ヒットとなった片渕須直監督の『この世界の片隅に』についてです。 昨年11月の公開でまだ全国で公開されていますが、今、どれくらいのヒットとなりました? 
- 西澤彰弘 (以下、西澤)
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興行収入はこの4月で25億円に達しました 
- 池ノ辺
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すごい! 東京テアトルの配給作品の中では、歴代1位の興行収入になったんですって? 
- 西澤
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はい、おかげさまで。 嬉しいですね、 片渕監督は公開以来、毎週、土日は、日本のあちこちに飛んで、舞台挨拶をされています。 弊社からも営業部や宣伝部の人間が同行しているのですが、彼らが感心して言うのは、片渕監督、もう60本とか70本の舞台挨拶をされているけど、同じ内容の話はされないで、ちゃんと、行った先の地元のお話をされるんです。 
- 池ノ辺
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素晴らしいですね。 話す内容を変えられているんですね。 
- 西澤
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最初の頃は舞台挨拶も短かったんですけど、この頃は、マイクを持つのが仕事のように流暢に喋られるようになりました(笑)。 慣れられたんでしょうね。 主人公のすずの声を担当したのんさんも、ずっと、この本社のこの部屋で取材していたんです。 しょっちゅう来られていて、ご本人も一時期、「ここが第2の自分の部屋って感じ」と言っていました。 みんなが仲良くて、うまくいきましたね。 
- 池ノ辺
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結果としては大成功になったけど、最初は資金が集まらず、片渕監督は大変なご苦労をされたと聞いています。 制作に6年かかったというのは有名なエピソードですけど、東京テアトルとしては、どの段階で関わることに決めたんですか? 
- 西澤
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東京テアトルには企画調達という、配給部から誰それ、宣伝部から誰それと、いろんな部署から人を横断的に集めて、調整する部署があるんですけど、その企画調達部で最終的に『この世界の片隅に』の配給、出資、興行、宣伝をやると決めて、関わりだしたのは公開から遡ること1年半くらい前ですね。 
 
             
     
     
     
     
     
     
    