池ノ辺直子の「新・映画は愛よ!!」
Season13 vol.05 株式会社 KADOKAWA 映像事業局 邦画・洋画 ディビジョンマネージャー 兼 映像営業部 ゼネラルマネージャー 加茂克也 氏
映画が大好きで、映画の仕事に関われてなんて幸せもんだと思っている予告編制作会社代表の池ノ辺直子が、同じく映画大好きな業界の人たちと語り合う「新・映画は愛よ!!」 第5回目は、引き続きKADOKAWAの加茂克也さんに、これまで手掛けた映画作品について伺っていきます。今回は大ヒットしたアメリカの連続ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』が日本で大ブレイクに至る時のお話です。
- 池ノ辺直子 (以下 池ノ辺)
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前回はヘッドハンティングされたパラマウントに入ってみたら、日本で売る新作映画がない中、新たな販路を見出された話だったんですけど、映画って新作ばかりじゃなくて、やっぱり過去の映画の良さを掘り起こし、観客に見てもらうことって大事ですよね。
初めてその作品に出合う観客にとっては、旧作とか新作とか関係ないですもの。
- 加茂克也 (以下、加茂)
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そう。
だから、『ローマの休日』の成功で調子に乗っちゃって、次に『ゴッドファーザー』を劇場公開したんですよ。
- 池ノ辺
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アーカイブを見直すことでこれだけビジネスができるんだと日本が証明したんですものね。
『ローマの休日』の上映の翌年ですか?
- 加茂
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2004年ですけど、これが、公開して一週間の時に、『ゴッド・ファーザー』のまさに顔であるドン・ヴィトー・コルレオーネ役のマーロン・ブランドが80歳で亡くなったんです。
偶然ですけど、追悼上映の意味合いが強くなって、それでドーンとお客さんが入ったんですよ。
- 池ノ辺
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加茂さん、運が強い。
やっぱり、これも根性が引き寄せている?
- 加茂
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その通り!(笑)
言い忘れていましたが、そもそも『ローマの休日』の時も、公開直前にグレゴリー・ペックが亡くなった。
- 池ノ辺
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まさか、そこまで考えてブッキングしたとか(笑)。
- 加茂
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そんなことはないけど、業界からは、「パラマウントはハリウッドスターの健康データを持ってて、狙って公開しているんだろ」と言われましたね。
「次は何を公開するんだ?」って、ブラックジョークですけど(笑)。
- 池ノ辺
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ハハハ、やっかみですね。
でもね、この後、加茂さんたちはもっとすごい大ヒット作を生み出すんですよね。
それが、『セックス・アンド・ザ・シティ』。
- 加茂
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その後というより、ちょうど、並行してやっていたプロジェクトなんだけど、これはね、もう、最初、本当に売れなかった。