- 池ノ辺
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ワールドプレミアって文字通り、世界初のお披露目でしょう。
どうです? やっぱり、特別な空気なんですか?
- 栗原
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僕は以前、パラマウントやフォックスにいたんですけど、実はワールドプレミアに立ち会ったことがなくて、初めてだったんです。
会場自体は、800人収容のそこまで大きい劇場ではなかったのですが、とにかくメディアの数と周りのざわつきがすごくて、セキュリティも厳しかったですが、超一流のハリウッドのど真ん中でやるプレミアというのはさすがの雰囲気でしたね。
それはキャストの皆さんも同じように感じられたようで、レッドカーペットに降り立った時、夢の中にいるようだったと話されていました。
窪塚さんは役的にも注目されていたので、ものスゴく刺激を受けている感じでした。
- 加茂
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彼は一人、着物でレッドカーペットを歩いて、存在をしっかりアピールしていましたよ。
- 栗原
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逆に窪塚さんは、「え、みんな着物じゃないの?」って驚いていて、歩く前はネットで着物での歩き方など予習されていました。
- 加茂
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感動的だったのが、スコセッシ監督の挨拶だったんだよね。
- 栗原
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ええ。ステージにスコセッシが一人で上がって、来場したゲストに向けて、「今日はアンドリュー・ガーフィールドも来てる、撮影監督のロドリゴ・プリエトも来ている。
編集のセルマも来てる、脚本のジェイ・コックスも」と一人ずつに丁寧にお礼を言って、そのあと、日本のキャストにも丁寧な言葉をかけられたんです。
その時、浅野さんや窪塚さん、イッセーさん、塚本さんがひとりひとり観客席から立ち上がって、お礼を言って、拍手して。
で、本当は上映の間はみんなで食事に行こうと話をしていたんですけど、会場の厳かな雰囲気にみなさん、気持ちが高ぶったのか、やっぱりここに残りますと、皆さん全員で観たんです。
- 池ノ辺
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いい話! 感動的ですね。
- 栗原
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でも、スコセッシ監督だけは出ていきましたけどね(笑)。
- 加茂
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もう、編集で何千回も見ているからね。
- 栗原
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上映場所はDGAシアターという、同じ建物にフィルムファンデーションがあるところだったので、おそらく、そちらに行かれたんだと思うんです。
- 加茂
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海外でのワールドプレミアは本当に緊張するよね、僕、カンヌ国際映画祭のときにも感じたんだけど、向こうの観客は面白くないと思うと、途中でバンバン退出していくじゃない。
わあわあしゃべり出したり、遠慮がない。
そういう反応もあるかもしれないから、どんな監督も怖くなって、その場では一緒に見れないと思う。