池ノ辺直子の「新・映画は愛よ!!」
Season12 vol.05 株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 業務執行役員 映画部門日本代表 佐野 哲章 氏
映画が大好きで、映画の仕事に関われてなんて幸せもんだと思っている予告編制作会社代表の池ノ辺直子が、同じく映画大好きな業界の人たちと語り合う「新・映画は愛よ!!」 第5回は、長く外資系映画会社で働かれてきた佐野さんの仕事について、お話を伺っていきます。
- 池ノ辺直子 (以下 池ノ辺)
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佐野さんは、スタートは日本ヘラルド映画でしたが、ウォルト・ディズニー・スタジオ、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントとハリウッドメジャーの映画会社で長く働かれましたね。
- 佐野哲章 (以下、佐野)
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同じ配給・宣伝でも日本の映画会社と外資系の映画会社では、異なる部分もあります。ポスターや予告編などもすべて勝手につくることはできず、本国のアプルーバルをとらなければならない。
でも、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントでは、ローカライゼイションといって、日本風に作れるようになるべく交渉していました。
- 池ノ辺
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いろいろ作り変えることも、可能だということですね。
- 佐野
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実績を作るとやらせてれくれるようになる。
- 池ノ辺
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日本でヒットさせようとするならば、日本流にしなければならないですよね。
- 佐野
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そうなんです。僕が外資系の映画会社で学んだことは、これは後輩の社員たちにもいっているんですけど、本国に対して「Yes,Yes,Yes」だけでもダメだし、「No,No,No」だけでもダメだ、と。
「Yes, but, No, but」で行かない、と。
つまり、「これもいいけど、こういう感じもいいんじゃないですか」と常に代案を用意しておいて、交渉する。
情熱があれば、論破できるというのが、僕の持論です。
今のソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの社員は、全員、その精神を理解し、実践してくれていると思いますよ。
- 池ノ辺
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素晴らしい!
- 佐野
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だから、安心して辞められる(笑)
- 池ノ辺
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そのように後進を導き、育てられてきたんですね。
- 佐野
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いやいや、育てたというより、一緒に 成長してきたんですよ。
今は、いろいろ本国に言える土壌もあると思います。そういえば、ダニエル・クレイグが第6代目のジェームス・ボンドに抜擢されたとき、賛否両論あった。
僕も、最初写真だけ見たときは、「アレっ?」って思ったんですけど、動画を見たら素晴らしい!
そこが彼のスゴさですね。
だから、ポスターよりも予告編向きなんだな、彼は。
- 池ノ辺
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ウチが予告編を担当させていただいています。
ホント、ダニエル・クレイグはセクシーだしカッコいい。
- 佐野
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列車の中で敵と闘って、その後、なに食わぬ顔でカフスを直す所作とか。
そういうのは、男から見てもたまらなく、かっこいいですよね。
こういうシーンは、予告編に絶対に入れてよ、と言いました。
- 池ノ辺
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私も社員を抱える身として、後進を育てる大切さは、とても実感しています。
が、実際に、一緒に成長させてもらっているというのも本当にその通りだと思います。
(文:立田敦子、写真:岡本英理)
『バイオハザード:ザ・ファイナル』
カプコンが誇る世界的人気ゲームを、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演で実写映画化した『バイオハザード』シリーズの最終章。
監督・脚本:ポール・W・S・アンダーソン 出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、アリ・ラーター、ショーン・ロバーツ、ルビー・ローズ、オーエン・マッケン、ローラ、イ・ジュンギ、ウィリアム・レヴィ、フレイザー・ジェイムズ、イアン・グレン、エヴァ・アンダーソン ほか
2016年12月23日(金・祝)より世界最速公開。
PROFILE
■佐野哲章(さの のりあき) 株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント (業務執行役員/SVP 映画部門 日本代表)
1957年生まれ。1979年に日本ヘラルド宣伝部に入社。国際部・関西営業部を歴任。 1987年-1992年、ベストロン映画アジア地区代表取締役を経て、1992年アスキー・ピクチャーズ社長に就任。1994年にポリグラム極東地区担当マネージング・ディレクター、1995年にウォルト・ディズニー・インターナショナル・ジャパン(株) 旧ブエナビスタインターナショナルジャパン日本代表を経て現在に至る。2005年11月16日株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 業務執行役員/SVP 映画部門 日本代表に就任。