Jun 20, 2019 interview

次は悪女役でタッグ?山戸結希監督×堀未央奈『ホットギミック』で築いた信頼関係

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次のタッグ作では悪女役!?

──otocotoではみなさんに、これまでの人生で影響を受けたり、お好きな作品をお聞きしています。堀さんはいかがでしょうか?

 幼い頃に観た『魔女の宅急便』(89年)は、ジブリ作品の中でも、昔から一番好きな映画です。自分にとって大切にしたいと思えるものがたくさん詰まっているので、これからも何度も、繰り返し観続けると思います。魔女のキキが13歳で親元を離れて成長していく姿と、自分が16歳の時に上京していろんな人と出会って強くなっていったことがすごく重なって、他人事ではないように思えました。なかなか自分の存在を知ってもらえなくて辛かった時に、この映画を観てすごく勇気づけられましたし、『魔女の宅急便』は、私の中で永遠に大切な作品です。

――監督は、以前に『溺れるナイフ』でご登場いただいた時に、オススメの本として「ピカピカのぎろちょん」を挙げていただきました。この他に、影響を受けた作品はありますか?

山戸 村上春樹さんの「走ることについて語るときに僕の語ること」というエッセイ集から大きな影響を受けました。村上さんが“書いて表現し続けること”と“走り続けること”をお互いの比喩として書き上げられたものなのですが、読者への責任や先生自身の肉体への責任などを、エッセイを通して感じることができました。それと同時に「こういう人だけが死ぬまで表現し続けられるんだな」と、村上さんの切実な告白の書のようにも感じました。死ぬまで何度でも読み返したいですし、私が映画を撮る限り、表現を志す限り、大切にしたい一冊です。

──最後に、もし今後またご一緒するとしたら、どんな作品で組みたいですか?

 え~! 想像しただけでドキドキします(笑)!!

山戸 堀さんの願望、とても知りたいです。ドキドキ……(笑)。

 山戸監督の作品なら、どんな悪女役も演じられるような気がします(笑)。それから……、言葉にできない感情や、一言では言い表せないような複雑なキャラクターを監督と一緒に作り上げてみたいです。まだ誰も演じたことがないような、だけどきっと同じようなものを抱えている人が世界のどこかにいるような、そんな面白いキャラクターを監督と一緒に作って演じてみたいです。

山戸 今のお言葉を聞いて、鳥肌が立ちました……! それ、すごくいいですね! 例えば、“根は優しい悪女役”や、“根っこは悪意に満ちた善人役”なんかを二人で作ってみたら面白いんじゃないかな? でもそんなふうに思えるのは、今回の映画でお互いの心をきちんと爆発させたからこそだと感じています。まずはこの映画を観た女の子たちにも「自分の心を爆発させるぞ」と思ってもらえるような爆弾を手渡せたらいいなと願っています。

取材・文/奥村百恵
撮影/三橋優美子

プロフィール

山戸結希(やまと・ゆうき)
愛知県生まれ。2012年、『あの娘が海辺で踊ってる』でデビュー。2016年、小松菜奈・菅田将暉W主演の長編『溺れるナイフ』が全国ロードショー、興行収入7億円を突破、述べ60万人以上を動員。RADWIMPS、乃木坂46、Little Glee Monster、DAOKOら多数のアーティストのミュージックビデオの映像監督を務め、大手企業の広告映像も手掛ける。2018年、企画・プロデュースを務めた『21世紀の女の子』が東京国際映画祭にて特別上映された。2019 年、東映配給作品『ホットギミック ガールミーツボーイ』が劇場公開を控える。
 
堀未央奈(ほり・みおな)
1996年、岐阜県生まれ。2013年、乃木坂46の2期生オーディションに合格。加入後、8カ月という驚異的なスピードで7thシングル「バレッタ」で選抜メンバー入り、初センターを務めた。2017年に女性ファッション誌『ar』のレギュラーモデルに抜擢され、同年、1stソロ写真集「君らしさ」を発売。今年、日本ブルーレイ大賞アンバサダーに就任した。文化放送のラジオ「レコメン!」に毎週水曜日レギュラーとして活躍。乃木坂46として、バラエティ番組「乃木坂工事中」に出演する他、23枚目のシングル「Sing Out!」が発売中。
 

公開情報
『ホットギミック ガールミーツボーイ』

平凡な女子高生・成田初(堀未央奈)。優しい兄・凌(間宮祥太朗)と元気な妹と両親と、普通の家庭で暮らしていた。ある日、同じマンションに住む橘亮輝(清水尋也)に弱みを握られ、亮輝の無茶な命令に振り回されることに。そんな時、数年前に引っ越していった幼馴染・小田切梓(板垣瑞生)が帰ってきた。人気モデルとして活躍する梓が、昔と変わらず自分を守ってくれる姿に初は魅かれていく。亮輝に邪魔をされながらも、初と梓は付き合うことに。幸福感に溶けてゆく初だったが、実は梓にはある目的があった――。さらに、兄・凌の秘密を知ってしまい、戸惑う初。昔から憧れの存在だった梓。口は悪いが傷ついた初を励ましてくれる亮輝。幼い頃からいつも自分を守ってくれる凌。そんな3人の男性との恋に揺れ動く初の運命は……。
原作:相原実貴「ホットギミック」(小学館「ベツコミ フラワーコミックス」刊)
監督・脚本:山戸結希
出演:堀未央奈 清水尋也 板垣瑞生 / 間宮祥太朗 ほか
配給:東映
2019年6月28日(金)公開
©相原実貴・小学館/2019「ホットギミック」製作委員会
公式サイト:http://www.hotgimmick-movie.com/

書籍情報
「ホットギミック」相原実貴/小学館

2000~2005年に『ベツコミ』(小学館)に連載された、相原実貴による人気コミック。全12巻が刊行され、コミックスの累計販売部数は450万部を突破。小説版や英語版も販売されているほか、「ホットギミック 特装版BOX」(全3BOX)が発売されるなど、今もなお人気を博している。

山戸結希監督が影響を受けた本
「走ることについて語るときに僕の語ること」村上春樹/文藝春秋

「ノルウェイの森」などで知られる小説家・文学翻訳家の村上春樹が、1982年以降に世界各地でフル・マラソンやトライアスロン・レースを走り続けてきた経験をもとに“走る小説家”として自分自身のことを真正面から綴ったエッセイ集。走ること、小説家としてのありようや創作の秘密、“彼自身”を初めて説き明かした画期的なメモワール。

堀未央奈さんが好きな映画
『魔女の宅急便』宮崎駿 監督/89年

角野栄子による児童文学『魔女の宅急便』を、1989年に宮崎駿監督が映画化したスタジオジブリの長編アニメーション映画。魔女の血を引く少女キキが黒猫のジジと共に魔女修行の旅に出たことで成長していく様を描く。公開から30年を経た現在もなお、国内外の多くのファンに愛されている。