“三人の男の子との恋愛”を表現する難しさ
──堀さん、清水さん、板垣さん、間宮さんは、それぞれの個性を活かしつつも各キャラクターを魅力的に演じられていました。どのような演出をされたのでしょうか?
山戸 初と男の子三人で、三本分の映画を作るというイメージで撮っていきました。というのも、堀さんが、清水さん、板垣さん、間宮さんそれぞれと一緒にいる時の温度感や空気自体が、本当に全く違っていたからなんです。それらをフレッシュな状態でつかまえて映像に残したい。そんな想いで毎日、新鮮な気持ちで撮影に挑んでいました。なので私が演出でお芝居を導いたというよりは、みなさんが役を生きている瞬間を、カメラで映し出していくという撮り方でした。
──役者さん側から質問などは出ませんでしたか?
山戸 そうですね、「ここはこうですか?」とみなさん細かく質問してくださったので、お互いに話し合いながら進めていくことができました。そんなふうにコミュニケーションが取れたことで、素晴らしいテイクが生まれてゆきました。ここまでお互いに言葉を渡し合いながら理解を深めて撮り上げられたと実感できる現場は嬉しく、思い切り楽しみながら撮影させていただきました。
──初は男子三人に心をかき乱される難しい役ですが、堀さんのお芝居は期待以上のものだったのではありませんか?
山戸 嬉しい質問です。まず“三人の男の子と恋愛する女の子”のことを“これは自分自身の物語だ”と演じ手にとっても、観客にとっても、自然に共感していただくのはとてもハードルが高いことだと思います。でも、堀さんとならそれが可能なのではないかとクランクイン前から期待していましたし、実際に一緒に突っ走ってくれて、さらに期待を超えてくれたのは忘れ難いことでした。
堀 こちらこそ、そんなふうに言っていただけてすごく嬉しいです。確かに三人の男の子と初の恋愛を表現するのは難しかったんですけど、恋愛だけじゃなくて姉妹の絆なども描かれていますし、それをしっかりと表現するために監督やスタッフさん、共演者の方々と関係性を作ることができたので、撮影を楽しめた自分がいました。撮影中に「こういう感情を私も持っていたんだな」とか「今までこういう感情を押し殺して生きていたんだな」といった発見もたくさんあったので、すごく貴重な一カ月でした。山戸監督にとても感謝しています。