販売部数累計450万部を超える相原実貴の伝説的人気コミック「ホットギミック」が乃木坂46のエース・堀未央奈を主演に迎えて実写映画化された。監督・脚本を務めたのは、2016年の『溺れるナイフ』で映画界に大きな衝撃を与えた山戸結希。山戸が手掛けた乃木坂46の「ごめんね ずっと…」と「ハルジオンが咲く頃」のミュージックビデオ以来のタッグとなる二人に、撮影秘話や実写化するにあたり大事にしたことなどを語ってもらった。
漫画の実写化は“無理”を形にすること
──本作の原作である人気コミック「ホットギミック」を読んだ時の感想からお聞かせいただけますか。
堀 私が演じさせていただいた初(はつみ)を中心に、三人の男の子たちとの恋愛が描かれているので、最初は初のことを羨ましく感じる人もいるだろうなと思いながら読んでいました。ところが読み進めていくと、それぞれが問題や悩みを抱えていたりして、いろいろと共感できる部分も多かったんです。もちろん「この男の子のこの仕草好きだな」と思えるキュンキュンポイントもたくさんあるので(笑)、感情移入しつつ、楽しみながら夢中になって読みました。
山戸 原作者の相原実貴先生が、“女の子が何を求めるのか”ということを最初に描かれた源流のような漫画だと感じました。そのような新しい流派を約20年も前に確立された相原先生に敬意を感じますし、“女の子が何を求めるのか”という部分をきちんと映像にしなければいけないという想いで挑ませていただきました。
──原作者の相原先生とは、映画化するにあたり何かお話をされましたか?
山戸 相原先生は「この大事な作品をお任せします」と言ってくださったので、原作の中から切り取るエピソードの一つひとつが良い選択になるよう心掛けました。そこを繊細にすることが相原先生や原作と誠実に向き合うことなのかなと。そういう意識をスタッフ、キャスト全員で共有しながら作っていたように思います。
──監督は漫画原作を映像化するにあたりどんなことを大事にされましたか?
山戸 原作の漫画が持っている温度感というのは映画でも感じさせたいと思いました。絵で表現されたものを生身の人間で体現するのは、ある意味、“無理”を形にすることと言えます。その“無理”という負荷がかかることによって、瑞々しい呼吸が生まれたらいいなと。空気を吸って吐いてという現実と、漫画のファンタジックな嘘が出会い、そこから生まれるものをみんなで信じながら映画を作っていく感覚を大事にしました。それは役者さんの理解度が深いからこそ実現できたことだと思います。
──堀さんは映画初出演にして主演となる本作に、どんな想いで挑みましたか?
堀 原作が素晴らしいのはもちろんですが、映画ではサブタイトルに『ガールミーツボーイ』という言葉が付いたことによって進化したのではないかなと思いました。愛情を込めて描かれた原作と、その原作への愛情を注いで書かれた本作の脚本の両方にそれぞれの良さがあるので、私はそのどちらも大切にしたいという気持ちで挑ませていただきました。