Mar 18, 2017 interview

いよいよ最終回!『視覚探偵 日暮旅人』荻野哲弘プロデューサーに制作の舞台裏や続編の可能性などを聞いた

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聴覚、嗅覚、味覚、触覚を失い、視覚だけを頼りに生きる主人公・日暮旅人(松坂桃李)が、特殊能力を使って事件を解決するミステリー『視覚探偵 日暮旅人』。ご近所で活躍する“探偵もの”と思わせて、物語の先には旅人が能力をもつに至ったおそるべき発端とそれにまつわる大きく深い闇が待ち受けていた。 近年何かと表現の規制が厳しいドラマ制作事情のなか、かなりギリギリまで攻めながら、3月12日放送の第8話ではかなりエグい表現あり、シュールな表現あり、松坂桃李と多部未華子の力強い演技のぶつかりあいがあった。
そして、ついに最終回、旅人はどうなるのか? というところで、日本テレビの荻野哲弘プロデューサーにインタビューしてみた。『日暮旅人』が奇跡のドラマになったわけとは何だったのか。

 

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──『視覚探偵 日暮旅人』がいよいよ3月19日(日)で最終回です。その見どころを教えてください。

旅人(松坂桃李)とリッチー(北村有起哉)との密室での最終対決があります。それぞれが体にミラーレス一眼レフカメラを取付けて自分の顔を撮る形になっていて、もの凄いアップになるところが視覚的に面白いですよ。堤幸彦監督は常に何かしらアイデアを取り入れていく方で、最終回も力が入っています。

 

体にミラーレス一眼レフカメラを取付けて撮影に臨む松坂桃李

体にミラーレス一眼レフカメラを取付けて撮影に臨む松坂桃李

 

──回を増すごとに旅人の表情が凄まじくなって。

ほんとうに凄いですよ、松坂さんは。スペシャルドラマ(2015年に放送された)のときは、とても親しみやすい方だと思っていたのですが、連ドラに入ったら、役になりきるあまりどんどん声がかけづらくなっていって、ときおりビビらされるほどで(笑)。『日本のいちばん長い日』(15年 原田眞人監督)を堤さんに勧められて観たら、額の血管が浮き出るくらいの芝居をしていて、物凄いエネルギーで芝居に入り込むんだなと驚いたものですが、今回それを目の当たりにしました。

──対する北村有起哉さんがものすごくクレージーで面白いですね。『SCOOP!』(16年 大根仁監督)のリリー・フランキーさんのドラッグ中毒者役がとても鮮烈ですが、北村有起哉さんも勝るとも劣らないです。キャスティングはどなたが。

僕がキャスティングしましたが、まさかあそこまでになるとは(笑)。凄く楽しんで前向きな提案をたくさんしてくれました。

 

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──衣裳などの見た目は?

あれは堤監督のアイデアです。福原充則さんが書いた脚本をほとんど変えてないにもかかわらず、監督と俳優がアイデアを上乗せしていくことで、まったく違った印象になることが面白かったですね。最終回の、旅人とリッチーの対決をやりきった先にあったのは、文化人類学的なニオイでした。リッチーはいわゆる“道化師的”な存在。要するに、リッチーとは旅人の中の虚像なんじゃないかっていう。リハーサルを観ながら、ふたりは表裏一体な感じがしたので、監督にそうお伝えしたら、嬉しそうな顔をされていました。福原さんと堤さんという才能がハマったときの凄さは観ていて震えが起きます。とくに第4話は凄かった。ところが数字があそこで落ちるんですから皮肉なものですね(笑)。

──堤監督が本気出すと中庸はないですよね。その力で、90年後半から00年代のテレビドラマを変えてきた方だから。

そうなんですよ。日本テレビのディレクターも堤さんの影響を受けていると思います。佐藤東弥監督(『そして、誰もいなくなった』『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』など)も『金田一少年の事件簿』で堤さんに出会ってから画が明らかに変わった。今回僕は、堤さんのやり方を、うちの若手のディレクターに見せたかったんです。そこでセカンドディレクターとして菅原伸太郎をつけました。彼は堤さんには「感動のマエストロ」って名付けてもらっていましたよ(笑)。