2022年11月30日、シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズで行われた、「ディズニー・コンテンツ・ショーケース2022」に日本から柳楽優弥と吉岡里帆、片山慎三監督が登壇した。これはディズニー作品をはじめ、マーベル・スタジオ、ルーカスフィルム、ピクサーの新作やアジア太平洋地域(APAC)のオリジナル作品を紹介するイベント。
アジア各国のメディアに向けて柳楽らがアピールした出演作は「ガンニバル」(Disney+「スター」)。このドラマは、二宮正明原作による同名コミックスを映像化したもので、2022年12月28日より配信されているヴィレッジ・サイコスリラーだ。
山間部の村に駐在として赴任してきた阿川大悟とその家族。村の権力者・後藤家の面々、そして村の人々から不穏な空気を感じるなか、この村では人を喰べているという疑惑、あらぬ噂、監視する瞳、そして狂気が阿川家を追い詰めていく。主人公の大悟を柳楽が、その妻・有希を吉岡が演じる。
2004年、カンヌ国際映画祭で史上最年少かつ日本人で初めて男優賞を受賞した柳楽優弥。世界配信された本作で、再び海外の反応に触れた現在、改めて感じたことを聞いた。
世界配信されるということ
ーー 今回ディズニー・プラス「スター」のオリジナル作品ということで、世界配信する作品ならではだと撮影現場で感じたことを教えてください。
まず、撮影期間が普通のドラマより長くて、半年ぐらいかけて撮影していましたね。ワンシーンワンシーンどう動くかとか、リハーサルする時間があったので、丁寧に作品と向き合うことができました。こういう規模感の作品で、撮影時間が長期間取れたことで「やっぱり準備は大事なんだな」っていう当たり前のことも感じました。
ーー 世界に配信する作品に出演されることについて、俳優としてどうお考えですか?
正直、俳優は演出されて台本を読んでと、やることはそんなに変わらないじゃないですか。海外に向けた芝居をやりましたとかではないから。キャラクターを演じることって別に変わらないと思うし、変わらなくていいと思うんです。
ただ、いろんな国の人が観るというプロットが事前にあるわけで、そうなったときに、山本プロデューサーのような国際的な映画祭で受賞経験がある、世界で結果を出している人がしっかりトップにいて作品作りができたので、あまり弱気にならずに、前向きに作品に取り組めました。
映像にすると浮かび上がること
ーー 原作がある場合、事前に読みますか?
今までは「読まないでいい」って言われることが多かったので、あまり読んでないですね。「ガンニバル」は、知り合いの俳優さんとか意外な人が「読んでるんだよ」って言ってくれることが多かったので、読みました。実は僕、サスペンスとかホラーとか、すごく苦手なジャンルなんですよ。
ーー そうなんですね。では、原作マンガを読まれたご感想と、どの部分を大事にしようと思ったか教えてください。
原作マンガを読んでいくと、阿川大悟と供花村の人とか、後藤家との対立が強く描かれていたと思うんです。ドラマの第3話で阿川家の過去にキズがあって、村に引っ越してきたことが描かれます。どうやって修正していくのか、という家族の物語でもあって、みんなが共感できるような部分は、映像で浮き上がってきた部分なのかなって思うんです。そう言った意味で、娘役の志水心音ちゃんと妻役の吉岡さんと作れた関係性は良かったんだなって完成した映像を観て思いました。
ーー 共演された方々とは、どんなお話をされましたか?
吉岡さんとは家族の話とか、どういうところで育ったとか、子どもの時どういう映画を観ていたとか、そういう話をしていましたね。
ーー それはパーソナルな部分を知るためにですか?
自然とそうなっていた感じです。答えは見つからないですけど、この作品についての考えとか意見とか、現場でお互いの気持ちを話し合ってみるみたいな感じですかね。